第29回美術館を巡る会
サントリー美術館「英一蝶 風流才子」展の報告

英一蝶(1652-1724)をご存知でしょうか。
元禄年間前後に江戸を中心に活躍した絵師です。狩野探幽の弟、安信に学び、絵師としての素養、技倆を身につけました。後に、市井の人々を活写した独自の都市風俗画を生み出しました。
また、松尾芭蕉に俳諧を学んだり、吉原で幇間をするなど、「うきよのわざ」にいろどりを添え、一世を風靡していきました。

ところが、時の幕府を揶揄するなどして、不興を買い、三宅島に流罪になりました。三宅島では、ますます画業に磨きをかけ「島一蝶」と呼ばれました。
後に、将軍代替わりの恩赦で江戸に戻されます。

2024年は一蝶没後300年にあたります。瑞々しい「初期作」、配流時代の貴重な「島一蝶作」、江戸再帰後の「晩年作」からなる過去最大規模の展覧会です。
本展は、私のサントリー美術館時代の学芸員の長年に渡る研究成果の発表の場でもあります。
てなことで、2024年10月28日(月)、サントリー美術館に出かけました。
河崎さんは、事前に高輪・承教寺にある英一蝶の墓参りまでされて来られました。
適度な混雑具合で、じっくり、ゆっくり、楽しめました。
とりわけ、初期の頃の牧歌的な「朝暾曳馬図」(静嘉堂文庫)、島一蝶時代の「布晒舞図」(重要文化財、遠山記念館)、「吉原風俗図巻」(サントリー美術館)、江戸再帰後の「雨宿り図屏風」(メトロポリタン美術館)に魅かれました。

同じ東京ミッドタウンの「フジフイルム・スクエアー」にも立ち寄りました。写真専門のギャラリーです。
パリを代表するカメラマン「ロベール・ドアノー」や日本の巨匠たちの写真集と写真を紹介する展示を鑑賞しました。

懇親会は、近くのフレンチレストラン「セリュー」でフルコースのディナーとフランス産シャルドネのスパークリングワインを堪能しました。

【参加者】6名(50音順、敬称略)
河崎健治、末次浩一郎、瀧川清、竹内吉夫、山本浩、若林覚

第28回美術館を巡る会
東京都美術館「田中一村 奄美の光 魂の絵画」展の報告

第28回美術館を巡る会は、2024年10月2日(水)東京都美術館「田中一村」を鑑賞しました。出品数250件と過去最大級の展覧会で、本人の「最後は東京で個展を開いて、絵の決着をつけたい」という強い思いが通じたのか、沢山の人で賑わっていました。

展覧会は第1章、若き南画家「田中米邨」東京時代。第2章、千葉時代「一村」誕生。第3章、己の道奄美へ。の3部構成でした。

第1章では幼少時から「米邨」と名乗り、天才ぶりを発揮し、数々の南画を描いた米邨を紹介、とりわけ14歳で描いた「池亭聞蛙」には魅入られました。
東京美術学校へ優秀な成績で入学するも2ヶ月で退学、「家事都合」と言っていますが、同級生に、東山魁夷がいたことも影響しているかもしれません。

第2章では、千葉寺の風景画が素晴らしい。郷愁を感じます。日展や帝展に落選を重ね、新しい画題を求めて、日本各地を南下し、最南端の奄美大島に辿り着きます。

ここからが第3章、紬工場で染色工として働き、糊口をしのぎながら「アダンの海辺」はじめ数々の名作が誕生していきます。

没後、その生き様と作品が検証され、昭和54年遺作展、59年NHK「日曜美術館」での特集、奄美大島の田中一村美術館開設で、日本全国に知れ渡りました。

当日の参加者は6名、もっと多くの方々に「美術の楽しみ」を知って頂きたいと念じています。懇親会(参加者4名)は、高田馬場、中華料理「石庫門」で「一村」の余韻に浸りながら、和気あいあいと楽しいひと時を過ごしました。
【参加者】6名(50音順、敬称略)
河崎健治、木本芳樹、小山雄一、福田豊夫人、山本浩、若林覚

第29回美術館を巡る会
サントリー美術館
「英一蝶 風流才子、浮世を写す」展のお誘い

英一蝶(1652-1724)をご存知でしょうか。
元禄年間前後に江戸を中心に活躍した絵師です。
狩野探幽の弟、安信に学び、絵師としての素養、技倆を身につけました。後に、市井の人々を活写した独自の都市風俗画を生み出しました。
また、松尾芭蕉に俳諧を学んだり、吉原で幇間をするなど、「うきよのわざ」にいろどりを添え、一世を風靡していきました。

ところが、時の幕府を揶揄するなどして、不興を買い、三宅島に流罪になりました。
三宅島では、ますます画業に磨きをかけ「島一蝶」と呼ばれました。後に、将軍代替わりの恩赦で江戸に戻されます。

2024年は一蝶没後300年にあたります。瑞々しい「初期作」、配流時代の貴重な「島一蝶作」江戸再帰後の「晩年作」からなる過去最大規模の展覧会です。
本展は、私のサントリー美術館時代の学芸員の長年に渡る研究成果の発表の場でもあります。

10月6日の日曜美術館の45分枠で放送されます。伊藤若冲や、田中一村同様「ブーム」になること請け合いです。「風流才子、英一蝶のブーム誕生」を目の当たりにしませんか。

*神田伯山による、講談風の音声ガイド(10分の講談もあり)が素晴らしい。「英一蝶の魅力と江戸の風俗」におもしろおかしく迫ります。一聴をお勧めします。

◆日 時=2024年10月28日(月)15時-16時30分
◆集 合=サントリー美術館入口 15時
◆鑑賞料=1,700円
懇親会=東京ミッドタウン  カジュアルイタリアン(未定) 17時
展覧会と同時に懇親会出席の有無をご連絡下さい
申込み締切り日=10月21日(月) 若林覚 宛
電話: 090-2498-1512
Email: satowaka3(at)gmail.com【(at)を@に置き換えてください】

第28回美術館を巡る会
東京都美術館
「田中一村  奄美の光 魂の絵画」展のお誘い

田中一村(1908-1977)をご存知でしょうか。
栃木県に生まれ東京、千葉に暮らしました。東京美術学校で東山魁夷と同級生でしたが、2ヶ月で退学しました。(前回のブランクーシは2ヶ月でロダンの元を去りますが・・・)
日本画家として実力はありながら、不遇をかこちました。新しい題材を求めて日本各地を南下、奄美大島に辿り着き、そこであの名作「アダンの海辺」が生まれました。
没後、その生き様と作品が検証され、昭和54年遺作展、59年NHK「日曜美術館」での特集、奄美大島の田中一村美術館で、日本全国に知れ渡りました。

本展は、絵画、スケッチ、工芸品など250件の作品で構成される大回顧展とのことです。生前「最後は、東京で個展を開いて、絵の決着をつけたい」と強く念じていたようですが、まさにその機会が訪れたと言えるでしょう。
皆様のご参加を切にお待ち申し上げます。
◆日 時=2024年10月2日(水)15時-16時30分
◆集 合=東京都美術館ロビー  15時
◆鑑賞料=2,000円
(65歳以上1,500円、前売り券1,
300円) 
チケットはめいめいでお求め下さい。(9月18日までは前売り券可)
チケットの買い方不明の方は若林まで相談下さい。
◆懇親会=高田馬場 中華「石庫門」 17時30分 電話: 03-5292-1991
◆申込み締切り日=9月25日(水) 若林 覚 宛
電話: 090-2498-1512
Email: satowaka3(at)gmail.com 【(at)を@に置き換えてください】

次回は、「英一蝶 風流才子、浮世を写す」(サントリー美術館、10月28日予定、別途ご案内)を開催します。
英一蝶は、江戸期、独自の都市風俗画を生み出しました。時の幕府を揶揄するなどして三宅島に流されましたが、そこで後世に残る作品群を描きました。
「島にまつわる2つの展覧会」満を持しての企画です。お楽しみいただければ幸いです。
(以 上)

第27回美術館を巡る会
アーティゾン美術館「ブランクーシ展」の報告

第27回美術館を巡る会は、4月23日(火)、小平市とも縁の深いアーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)へ参りました。
冒頭、稲門会の荒井桂氏(元ブリヂストン美術館勤務)から、同美術館の歴史と概要について説明いただきました。石橋正二郎のこの美術館にかける熱い思いが伝わってきました。

ブランクーシ(1876-1957)は、ルーマニア生まれ、パリで活躍した抽象彫刻家です。ロダンの助手になりますが、「大樹の陰では何も育たない」と言って、僅か2か月で袂を分かちます。写実的なロダンに比し、対象物の本質に迫るミニマルな彫刻を展開し、同時代、次世代の芸術家に多大な影響を与えました。
本展は、国内外の美術館から彫刻、絵画、写真など90点の作品が集結する、日本初の本格的な展覧会とのことでした。そんな中で、一推しは何と言っても「接吻」(彫刻・アーティゾン所蔵)です。

同時開催の「清水多嘉示展」(彫刻・絵画)も鑑賞しました。清水(1897-1981)は、小平市の帝国美術学校(現・武蔵野美術大学)の創設メンバーで、長年、教授を務めました。石橋正二郎の肖像画も描きました。

懇親会は八重洲地下街の「俺のイタリアン」でした。鑑賞の余韻に浸りながら、舌鼓を打ちました。

【参加者】7名(50音順、敬称略)

荒井桂、河崎健治、瀧川清、竹内吉夫、松村純夫、山本浩、若林覚

【次回予定】
次回は9月か10月、「田中一村展」(東京都美術館、下図左)か「英一蝶展」(サントリー美術館、下図右)を予定しています。
最近参加者が少なめです。ご希望をお寄せ頂ければ幸いです。

(文責=お世話役・若林 覚)

第26回美術館を巡る会
東京国立博物館「本阿弥光悦の大宇宙」展の報告

2024年2月27日(火)、寒風・烈風・快晴。

第26回美術館を巡る会は、東京国立博物館の本阿弥光悦展を鑑賞しました。江戸時代初期俵屋宗達とともに「琳派の祖」とされた光悦、満を持してのご案内でしたが反響が少なく、中止も考えましたが、最終的には6名の方々にご参加頂き、多彩で質の高い光悦芸術に浸ることができました。


国宝「舟橋蒔絵硯箱」、重文「鶴下絵36歌仙和歌巻」、重文「紫紙金字法華経」、重美「短刀銘兼氏 金象嵌花形見」、重文「黒楽茶碗 銘時雨」が次々と表れ、圧倒されました。
とりわけ「舟橋蒔絵硯箱」は金蒔絵の川と舟、鉛の橋、銀文字の和歌、箱の曲線のフォルムが絶妙なバランスで配置された作品で魅了されました。
また「鶴下絵和歌巻」は俵屋宗達の大胆・繊細な鶴の絵(動きのある鶴の群れは現代のアニメにも通ずる?)と光悦の変幻自在な書とのマッチングが、微妙な緊張関係を生んでいました。光悦は緊張のあまり、最初に登場する「柿本人麻呂」の「人」の字を落としてしまったそうです。

残念だったのは「鹿下絵新古今和歌集和歌巻」(シアトル美術館、他国内美術館)、「国宝白楽茶碗 銘不二山」(サンリツ服部美術館)、「赤楽茶碗 銘熟柿」(サントリー美術館)が出品されていなかったことです。

「鹿下絵」は俵屋宗達との共作、前・後半が切り取られ、前半が詠み手ごとに更に分断されそれぞれの美術館に、後半はシアトル美術館に所蔵されています。
こうしたものを集結させてこその「本阿弥光悦大宇宙」展だったと思いますが…。

懇親会は、高田馬場「石庫門」で、美術、中華料理、紹興酒、茅台酒、山登り談義で盛り上がりました。
2024年2月27日開催
【参加者】6名(50音順、敬称略)
河崎健治、竹内吉夫、福田豊ご夫妻、山本浩、若林覚

次回は4月23日(火)アーティゾン美術館で、半・抽象彫刻家「ブランクーシ」展です。奮ってご参加下さい。

(文責=お世話役・若林 覚)

第27回美術館を巡る会
アーティゾン美術館
「ブランクーシ 本質を象る」展のお誘い

ブランクーシをご存知でしょうか。ルーマニア生まれ、パリで活躍した抽象彫刻家です。

ブランクーシ(1876-1957)はロダンの助手になりますが、「大樹の陰では何も育たない」と言って、僅か2ヶ月で袂を分かちます。

写実的なロダンに比し、対象物の本質に迫るミニマルな彫刻を展開し、同時代、次世代の芸術家に多大な影響を与えました。(イサム・ノグチも一時期助手を務めました)

本展は、パリのブランクーシ・エステートや国内外の美術館から彫刻、絵画、写真など90点の作品が集結する、日本初の本格的な展覧会です。
春爛漫のひととき、不思議な作品に出会ってみませんか。


◆日 時=2024年4月23日(火)15時-16時30分
◆集 合=アーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)受付 15時
◆鑑賞料=2,000円。チケットはめいめいでお求め下さい。
(3月29日までは前売りで1,800円、展覧会公式サイトで購入できます)
※チケットの買い方不明の方は若林まで相談下さい。
◆懇親会=東京駅八重洲口カジュアルフレンチ(お店は、参加人数で選定します)
◆申込み締切り日=4月16日(火)  若林覚 宛
電話: 090-2498-1512

Email: satowaka3(at)gmail.com 【(at)を@に置き換えてください】
 (以 上)

第26回美術館を巡る会のご案内

東京国立博物館「本阿弥光悦の大宇宙」展のご案内

本阿弥光悦をご存知でしょうか。
本阿弥家は、もともと刀剣鑑定の名門でした。
光悦(1558-1637)は戦乱の時代に生き、刀剣鑑定のほか、書家、陶芸家、漆芸家、茶人として、独自の世界観を作り出し琳派の祖とも言われています。
(尾形光琳、乾山兄弟の曽祖父の妻が光悦の姉でもありました)

徳川家康から、京都鷹峯9万坪の土地を賜り、様々な工人(職人)が集う「光悦村」ができました。本展では国宝、重要文化財を中心とした光悦芸術の素晴らしさ、それを支えた日蓮を祖とする法華宗(日蓮宗)の影響にも迫る「本格展」です。
厳冬を過ぎ、春間近のとき、日本文化の底流に触れてみませんか。

懇親会は高田馬場「石庫門」で「本格」を緩めましょう。

・日 時: 2024年2月27日(火)15時30分-17時
・集 合: JR上野駅 公園口改札 15時
鑑賞料: 2,100円(1月15日までは前売りで1,900円)
 チケットはめいめいでお求め下さい。
展覧会公式サイトで購入できます。チケットの買い方不明の方は若林まで相談下さい。
・懇親会: 高田馬場・石庫門 17時30分 電話 03-5292-1991
・申し込み締め切り日: 2月20日(火)若林覚 宛
電話: 090-2498-1512
Email: satowaka3(at)gmail.com 【(at)を@に置き換えてください】
 (以 上)

第25回美術館を巡る会
東京国立近代美術館「生誕120年 棟方志功展」の報告

秋の美術館を巡る会は、東京国立近代美術館の「世界のムナカタ」を鑑賞しました。

棟方志功(1903-1975)は、少年時代「わだばゴッホになる」と宣言して以来、一心不乱に創作に励みました。
1955年には、サンパウロ・ビエンナーレ、翌56年、ヴェネチア・ビエンナーレ国際版画大賞を受賞しました。

今回の「生誕120年棟方志功展―メイキング・オブ・ムナカタ」は、棟方に大きな影響を与えた青森、東京、富山を巡る過去最大級の展覧会で、板画(版画)、倭画(肉筆画)、油彩画、デザイン制作から映画、テレビ、ラジオ出演まで、縦横無尽、八面六臂の活動が紹介されていました。
代表作「二菩薩・十大弟子」はともかく、疎開先の富山県福光町の「華厳松」「四季福光風景」など貴重な作品群を目の当たりにできました。

ところで、ゴッホは、生前殆ど評価されませんでしたが、「ムナカタ」はゴッホになれたのでしょうか?

残念だったのは、棟方が油彩から版画に転じる大きなキッカケになった川上澄生「初夏の風」が出品されてなかったことです。私だったら絶対・・・。

川上澄生の代表作「初夏の風」
1926(大正15)年の第5回国画創作協会展に出品されました


棟方展の後、常設企画展も楽しみました。
中学、高校の教科書に載っていた近・現代の名作・名品揃いです。

懇親会は、パレスサイドビル「パブ・サントリアン」で、棟方と美術を肴に、和気あいあいのひと時を過ごしました。

懇親会の「パブ・サントリアン」で


2023年10月24日開催
【参加者】7名(50音順、敬称略)
伊藤 徹、河崎健治、小山雄一、末次浩一郎、鈴木達也、山本 浩、若林 覚

(文責=お世話役・若林 覚)

第25回美術館を巡る会のご案内

東京国立近代美術館
「生誕120年 棟方志功展」「所蔵作品展MOMATコレクション」のお誘い

秋の美術館を巡る会は「世界のムナカタ」で如何でしょうか?
国際的な評価を受けた棟方志功(1903-1975)は、少年時代「わだばゴッホになる」と宣言して以来、一心不乱に創作に励みました。1956年には、日本人初のヴェネツィア・ビエンナーレ国際版画大賞も受賞しました。
今回の「生誕120年棟方志功展―メイキング・オブ・ムナカタ」は、棟方に大きな影響を与えた青森、東京、富山を巡る過去最大級の展覧会です。板画、倭画、油彩画、デザイン制作から映画、テレビ、ラジオ出演まで、縦横無尽、八面六臂の活動が紹介されます。

「棟方志功」とはいかなる芸術家であったのか再考して見るいいチャンスです。

同時に、東京国立近代美術館(MOMAT)が誇る充実したコレクションからなる常設企画展も楽しみましょう。

懇親会は、パレスサイドビル「パブサントリアン」を予定しています。
美味しいビール、ハイボール、ワイン、ピザ、パスタがお待ちしています。

・日 時=2023年10月24日(火)15時30分-17時
・集 合=15時30分 東京国立近代美術館入り口
・鑑賞料=1,800円(コレクション展含む)。チケットはめいめいでお求め下さい。
・懇親会=17時30分 「パブサントリアン」 参加費5,000円
・申込締切日=10月17日(火)若林  覚 宛
 電話:090-2498-1512
 メール:satowaka3(at)gmail.com【(at)を@に置き換えてください】
(以 上)

2023・8・14 美術館を巡る会 お世話役・若林  覚