第32回美術館を巡る会
府中市美術館「橋口五葉のデザイン世界」展の報告

2025年7月4日(金)、府中市美術館「橋口五葉のデザイン世界」展を訪れました。

元早稲田大学理工学部教授で洋画家の藪野健氏が10年にわたって館長を務めていましたが、3月末で退任。新館長の山村仁志氏から、美術館の概要と本展の見どころについてお話がありました。

府中市美術館前で


橋口五葉(1881~1921)は、夏目漱石に最も近かった美術家・装幀家でした。小説家としてのデビュー作「吾輩は猫である」の装幀を起点に、日本近代文学を代表する作家の装幀を次々と手掛けました。

アップルの創業者、スティーブ・ジョブスも熱心なコレクターでした。とりわけ「髪梳ける女」に魅入られていました。

髪梳ける女

橋口五葉は、鹿児島生まれ。橋本雅邦に日本画を学んだ後、同郷の黒田清輝の勧めで洋画に転じ、晩年は、新版画で幾多の傑作を世に出しました。その作品には、琳派や浮世絵とともに、ヨーロッパのアール・ヌーボーの影響も伺えます。

装幀や美術という枠組みを超えた「橋口五葉の豊穣なデザインの世界」を大いに堪能しました。

懇親会は武蔵小金井「割烹 真澄」。信州諏訪の蔵元から直送の銘酒「真澄」で酩酊、談論風発したひと時でした。

懇親会の会場「割烹 真澄」で


【参加者 (敬称略)】 河崎、小菅、小山、末次、瀧川、松村、山本、若林(文)