スエーデンの女流画家、ヒルマ・アフ・クリント(1862-1944)をご存知でしょうか?
モネ(1840-1926)より20歳ほど若く、印象派、後期印象派が全盛を極めた時代に、無名のまま世を去りました。私も全く知りませんでした。
2022年、渋谷のユーロスペースで彼女の伝記映画「見えるものその先に」を見ました。「こんな作家がいたのか」「世界の美術史が書き換えられるかもしれない」と驚き、感動しました。
そのヒルマ・アフ・クリントの展覧会が、初めて日本にくるとのこと。早速、「美術館を巡る会」でご案内しました。当日(2025年3月7日)は、参加者5名と些か残念でしたが、「新発見の作品群」との出会いを堪能していただけたのはないでしょうか。
ヒルマ・アフ・クリントは、カンディンスキーやモンドリアンより早く抽象絵画を描き始めました。
アカデミックな絵画とは異なる抽象表現で、宇宙や自然など霊的なメッセージを絵にしました。ともすると、ドライになりがちな抽象表現に比べ、彼女の表現はウェットなのです。それが多くの人の心を捉えるのではないでしょうか。
彼女の遺言は「死後20年の間は、作品を公開しないで欲しい」でした。20年どころか、70年経って初めてストックホルム近代美術館で回顧展(2013)が開催され、100万人が来館しました。
その後、ニューヨークのグッゲンハイム美術館、ロンドンのテート・モダン美術館と巡回しグッゲンハイムでは、史上最大の60万人が鑑賞したとのことです。
アジア初の大回顧展である本展では、高さ3m10点組の絵画<10の最大物>をはじめ、全てが日本初公開の約140点で構成されていました。
モネもゴーガンもゴッホいいが、少しでも美術に関心のある方々に、ヒルマ・アフ・クリントの魅力に浸って頂きたく思います。
展覧会は、まだ始まったばかりです。一見を強くお勧めします。
・展覧会名:ヒルマ・アフ・クリント 展
・会 期:2025年3月4日(火)-6月15日(日)
・会 場:東京国立近代美術館
懇親会は、高田馬場クラフトビール店「ベアードタップ」で楽しみました。
【参加者】5名(50音順、敬称略)
小山雄一、福田豊ご夫妻、山本浩、若林覚