観劇の会・竹内吉夫
「観劇の会」会員の石井伸二さん(1967法、元国立劇場職員)より数か月前、ご自身の蔵書をどこか演劇関係の団体に寄贈したいとのご相談があり、お預かりいたしました。『歌舞伎全集・全25巻』(1967年刊)という大変貴重なものです。
2026年3月25日の観劇の会例会(池袋)にて『ビッグ・フェロー』を鑑賞した折に「劇団俳小」(花小金井)の代表・斎藤真(しん)氏にこの話を持ちかけ、見本の一冊をお預けいたしました。〈しんさん〉も早大1967文卒で、小平稲門会会員の故・志村智雄さん(1968法)の「早稲田大学演劇研究会(通称:早大劇研)」時代の先輩に当たられます。
それから何日かして「ぜひ寄贈願いたい」とのことで話はトントン拍子で進み、4月末に無事、『全集』を引き渡しすることが出来ました。

東京創元社刊の『名作歌舞伎全集』
私としてはその正式な「寄贈式」(石井さん、斎藤代表、竹内とで)を、何としても早い時期に執り行わなければと思いました。それで日程調整をした結果、5月30日に花小金井の劇団稽古場で、との合意が得られました。また、セレモニーの実施に当たっては私ひとりでは役者不足と考え、どなたかに「立会人」をお願いしたく、諸先輩にご相談をいたしましたが、その日は早慶戦等で会長はじめ皆さん出払ってしまうのです。そこで地元花小金井在住で、芸能界・音楽界の大御所でいらっしゃる増田峰夫さん(1960法)にダメ元で打診をさせていただきました。そしたら「音楽事務所」の現役社長で超多忙な増田さんが奇跡的に、「その日は空いているから、行けるよ」とのことで、稲門会重鎮に立会人をお願い出来る次第となりました。
こうして石井さんのご意思に敬意を示し、また「観劇の会」をご指導いただいた亡き前進座の志村智雄さん、志村さん亡き後の会をリードされた故・穂積健児さん(1967教育)に対し、うれしいご報告も出来る手はずが整いました。
5月30日、午後2時30分花小金井駅改札集合、3時稽古場訪問。寄贈式前に、劇団代表から思いがけない朗報を伺いました。
「稲門会ブログに寄稿された観劇の会・例会報告『梅が実るまで~津田梅子の生涯』(2025年12月例会)をプリントアウトして学校訪問に行ったら、さっそく2校から『生徒に鑑賞させたい』との上演依頼がありました」。
(『梅が実るまで』観劇記ブログは、こちら)
同好会の活動報告がそういう形で活用され、皆さんに喜んでいただける事を嬉しく思いました。また、学校が、「稲門会が観に行く演劇なら間違いは無いだろう」と思ってくれたとしたら、これもひとつの地域貢献となったかとも考えました。
次に、今日に至るまでのいきさつを確認しながら、感想を述べ合いました。
石井さん 「日本の歌舞伎は近松門左衛門・河竹黙阿弥など、世界レベルと思います。全集をご活用いただければ嬉しいです」
斎藤代表 「歌舞伎はシェークスピアに負けない日本の宝です。劇団員たちと一緒に、しっかり読み込みます」
増田さん 「長年花小金井に住んでいますが、こんなすばらしい劇団が引っ越してきていたのですね。それと寄贈される全集を見て、うーんこんなに立派なものだったのかと驚いているところです」
プレゼンターの石井さんから本を受け取る役を劇団を代表して女優の吉田ひさ子さんにお願いし、記念撮影(写真左)。続いて5人揃ってのメモリアルフォト(写真右)。それは筆者が、「これでホッとした」と幸せな一息をついた瞬間でした。
午後4時、全員で花小金井の居酒屋「虎居(とらい)」に移動。その日は最高気温30度となり、ノドを湿すにはもってこい。それからの3時間、ジョッキを傾けながら歌舞伎論、演劇論、音楽論、今後の活動についての夢など語り合いました。そして石井さんの国立劇場在職当時の裏話や、増田さんのナベプロ時代からウン十年にわたる秘話を聞かせていただき、全員爆笑、大爆笑。日頃、清楚で知られる女優のひさ子さんも、お腹を抱えてのたうち回っていました。
(2026年6月18日投稿)