第54回散策の会報告
元祖山手七福神めぐり

令和5年1月7日(土)

明けましておめでとうございます。

昨年はコロナ禍の中にもかかわらず皆様のご理解を得て5回の「散策の会」が催行できました。多くの方々の参加をいただき、誠にありがとうございました。本年も引き続きご愛顧くださいますようお願い申し上げます。

今回の七福神は目黒駅を中心として左右にほぼ一直線にならび、無駄のないコースでした。それもそのはず、江戸時代からの目黒不動への参詣ルートに従って祀られていたからです。参拝の順序については、白金から目黒に向かうのは無病息災・長寿のご利益があり、逆の目黒から白金へのルートは商売繁盛だそうです。参加メンバーを見れば迷いなく前者のコースとなるでしょう。

ところで、なぜ”元祖“と付くかといえば、2つの訳があるようです。1つは谷中七福神と共に江戸最古の七福神であること。もう1つは「新宿山ノ手七福神」と紛らわしいので混同を避けるためです。ただ各寺院の御朱印は「江戸最初 山手七福神」となっています。

今年はきっと福に包まれる9人衆


☆毘沙門天 覚林寺(港区白金台1-1-47)日蓮宗 
白金高輪駅を出るといきなり日吉坂の上りにかかります。ただゆるい傾斜のうえ、わずか5分で到着ですので助かりました。ここは寺の名より「清正公(せいしょうこう)さま」の方が通用します。そういえばバス停も「清正公前」でした。この通称は加藤清正の位牌や像が祀られているからといわれています。毘沙門天像は境内の毘沙門堂に祀られていました。ただ扉は閉められたままで、暗くてよく拝顔できませんでした。この後さらに日吉坂を上り八芳園の前を通り、瑞聖寺まではとろとろと10分。

とにかく福をいただかなくちゃ

毘沙門天を見せない毘沙門堂

☆布袋 瑞聖寺(ずいしょうじ)(白金台3-3-19)黄檗宗                                                        
大雄宝殿にある布袋像は大きな木像で、片膝を立て眼光鋭く俗界を見下ろしていました。伸びやかな裳階(もこし)を持つ重要文化財の大雄宝殿(本堂)の建築様式と、あの隈研吾氏(国立競技場の設計者)の手になる庫裏のフォルムのコントラストは、さすがに見とれるほどの見事な眺めでした。ここは2019年5月の「白金めぐり」で一度訪れています。

ちなみに隈氏は小平市の中央公民館や福祉会館などを複合化する新しい建物の設計も担当していますし、早大特任教授でもあります。また花小金井駅近くの円成院(えんじょういん)も黄檗宗の寺院で、本堂の姿がよく似ていて、ここも見応えのある雄大な堂宇です。

この後プラチナ通りの入り口に驚安の殿堂ドン・キホーテ店を発見。ところがカラーサインがあの赤黄黒でなくプラチナ色(?)で統一されていました。白金という土地柄を考慮したのかな?それとも住民運動の結果?

水盤に映る美しくも雄大な大雄宝殿

七福神の撮影OKはここだけだった


☆福禄寿・寿老人 妙圓寺(白金台3-17-5)日蓮宗
2体の像はともに20cm前後の木造立像で、妙見堂に安置されていました。白金というイメージから程遠い小さな地味なお寺で、大通りから一歩入った落ち着いた環境の中にあります。

このあと東急目黒駅の脇を通り、かなり急な行人坂(ぎょうにんざか)を下り、大圓寺に向かいます。なお行人坂の名は、大圓寺を拠点とする修験者たちが往来したことによるといわれています。

こじんまりした妙見堂


☆大黒天 大圓寺(目黒区下目黒1-8-5)天台宗
「大黒天」は江戸城の裏鬼門(南西)を守護するために、薩摩藩主島津家から寄進されたものと伝えられ、顔は徳川家康がモデルという伝承があるそうで、金色に輝いています。また境内にある五百羅漢像(都有形文化財)が圧巻です。これはこの寺が火元だった明和の大火(行人坂火事・1772年)の犠牲者の供養のために造られたそうです。他に八百屋お七の恋人吉三(西運)の墓碑もありました。ここの本尊は国の重文に指定されている釈迦如来像(1193年作)で普段は秘仏ですが、運よく年末年始は開帳されていて、拝顔が叶いました。なお、ここは2011年10月の「目黒界隈を歩く」でも訪れています。

大黒様はどこだ?と探すふたり

一切の煩悩を払った修行僧たち


ここまでで約6千歩を費やしました。これ以上歩き、楽しみが苦痛に変わっては本末転倒なので、この後に続く弁財天(蟠龍寺)と恵比寿(瀧泉寺)は割愛して、今回は「五福神・四寺めぐり」としました。これでもご利益はたっぷりでしょう。

帰路に胸突き八丁の行人坂を死の行軍することは何としても避けたいと思っていた折、松村世話役が雅叙園内のエスカレーターを乗り継いで上がるという秘策を授けてくれました。わずかに遠回りでしたが息を切らすことなく目黒駅に到着することができて解散。快晴のもと12回目の「七福神めぐり」はかくして終了、トータル約7千2百歩の散策でした。

今回は新型コロナ第8波の真っただ中、さらには初雪や雨があるかもという予報、加えて翌8日は稲門会も参加する小平市の「新春歩け歩けのつどい」が控えているという、当会にとって参加者減のマイナス要因に囲まれてしまいました。それゆえ参加者が9名というのはやむを得ないところでしょう。

そのうえこの日は山手線外回りが渋谷駅の線路付け替えのため、大崎→池袋間が終日運休という厄日。帰路は目黒駅から地下鉄南北線経由で新宿や高田馬場までたどり着きました。

【散策後の懇親会】
新型コロナウイルス感染防止のため、今回も行いませんでした。

【参加者】
伊藤・大河原・大島・佐藤・鈴木・瀧川・竹内・福田夫人・松村(9名)

(文=佐藤(俊)、写真=松村・佐藤)

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