ホウレンソウは、昔は秋冬だけの野菜でしたが、今では1年じゅう食べられます
ホウレンソウの原産地は、カスピ海沿岸の中央アジアと言われています。その地域に祖先の野生種は見つかっていませんが、2種類の自生種が分布しています。
イランでは、古くからホウレンソウを栽培していました。そこから、東西へと伝わって行きました。
西へは、アラビア、北アフリカを経て12世紀初頭にスペインに伝わり、ヨーロッパに広まり改良されました。これが西洋種です。
東へは、ネパールを経て7世紀の唐代の中国に渡り、華北地方で品種が発達しました。これが東洋種です。
日本へは、16世紀ごろに中国の東洋種がやってきました。これが、日本在来種のもととなりました。
明治時代になって、日本にも西洋種が入り、東と西の交配種が作られました。この交配種によって、春夏の栽培も可能になりました。
日本在来種(東洋種)は、葉質は薄くて葉色は淡く、葉の形はぎざぎざで葉先が、とがっています。根元の赤みが強く、種には角があります。味は良いです。
西洋種は、肉厚で葉色が濃く、葉の切れ込みはないか少なく、先端は丸みを帯びており、根本はあまり赤くなく、種は球形です。あくが強くて味は劣りますが、収穫量は多く、とう立ちしにくいように改良されて、緯度が高いヨーロッパで好んで食されています。
味の良い東洋種ととう立ちしにくい西洋種を交配して、良い性質だけを併せ持ったのが、現在多く栽培されているホウレン草です。今では、日本在来種の東洋種はほとんど見かけなくなりました。
(2022.5.5)
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