第3回読書の会 報告

◆開催日=2025年12月6日(土)
◆会 場=小平市 美園地域センター

【おことわり】回数について、今回は「第4回」目ですが、実際に書籍を課題にし始めたのは今回が3回目になりますので、回数が重複しますが今回を「第3回」とします。

「読書の会」第3回の会合を行いました。今回は中島敦さんの『名人伝』をもとに読後感想を語り合いました。

幼少期に両親の離婚、再婚、父の仕事のための転居などめまぐるしい生活環境の変化を経験した中島さんは大学卒業後横浜の女学校の教師となりますが、持病の喘息が進み、転地療養のため役人となりパラオで過ごしました。しかし病状が回復せず、帰国後、33歳で夭折します。

物語は、昔の中国・趙の国で弓の名人を志す一人の男が数々の修行を経た後、「不射の射」(弓を射なくても標的を射ることができる)という境地に達します。その男は修行から帰った後、40年ほどして世を去りますが、晩年には弓の名称や用途を全く忘れてしまうという逸話を残します

名人と称されるようになった紀昌(主人公)について、「弓を射ないのに名人というのはどうしたものか」「名人とは周りの人が評価するものである」「『名人など、ほんとうはどこにもないのではないか』という問題提起とも考えられる」など、名人のあり方などにも踏み込んだ様々な意見が活発に交わされ、また、「物語の前半は仕事に打ち込み、夢を持って力一杯生きていく様子、後半は名声、野望の執着から離れ、自由に生きる定年後の第二の人生にあたると感じる。老後を平安な心持ちで暮らすべきであるということを示しているのではないか」と人の一生になぞらえたご感想もいただきました。

会の後半は、みなさんのご経験から「名人芸」と感じられたことをお伺いしました。高座に上がり、ひと言も発することなく客を笑わせた落語家や、宮大工さんの伝統的な素晴らしい技術の紹介、物知りになるには覚えようと思わないことが秘訣である、など興味深いお話を聞くことができ、100分が短く感じられました。

今回は総勢8名の参加となり、発足間もない同好会ですがみなさんに集まっていただける楽しい会として2025年を締めくくることができました。
次回の開催は2月下旬を予定しています。みなさんに喜んでいただけるようにアドバイスをたくさんいただき、充実した集いにしたいと思います。

(文=樋口昌典)

【参加者(敬称略)】
 荒井、川崎、小菅、樋口、比留間、広山、本田(校友)、松村、樋口。8名

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