第23回寄席研究会報告

第23回寄席研究会は平成31年2月26日(火)に新宿末廣亭で2月下席昼の部観賞会を開催しました。今回も落語協会の担当の寄席です。

今回は先代林家三平の長男の林家正蔵と柳家さん喬以外にあまりポピュラーな噺家がおらず、またトリの柳亭小燕枝も地味なタイプですので、多分座席はそう埋まらないだろうと思っていました。ところが、正午の開演早々に一階椅子席(120名)はほぼ満員、1時前には桟敷席も一杯となり、その後は二階席も開放されました。参加の会員7名は皆早めに入場したので、何とか椅子席で鑑賞する事が出来ました。(二階席は臨時席なので長時間の鑑賞になると足腰に応えます。)

終演後、末廣亭前で


今回の寄席で一番びっくりしたのは男女ペアのカンジヤマ・マイムです。おしゃべりするパントマイムで、何とニューヨーク仕込みで「笑点」にも出演した事があるそうですが、末廣亭で観るのは初めてでした。
ベテランの三遊亭歌司は山のアナアナでお馴染みだった師匠三遊亭円歌のエピソード、そしてこれまた超ベテランの桂文生は前座時代から見てきた、三遊亭圓生と先代林家正蔵のライバル意識という楽屋話を披露していました。
肝心の落語の方は古今亭志ん弥の「親子酒」も林家正蔵の「一つ目」も、どちらも枕の部分が長く本題が中途半端な出来のように思えました。
お目当ての柳家さん喬(一昨年、紫綬褒章を受章)は人情噺の得意な噺家ですが、今回は性格が正反対の友人のやりとり「長短」を演じました。トリの柳亭小燕枝は、これまた古くからの親友の間での、碁の待ったを巡る諍い「笠碁」を演じました。お二人とも本当にいい味を出していました。

終演後はいつも通り焼鳥屋「庄助」で懇親会を開き、寄席談議で楽しい時を過ごしました。

焼鳥屋で懇親会


次回は6月頃を予定しております。是非ご参加下さい。

参加者:井垣、國友、栗原、佐藤俊、末次、山本、伊藤徹、以上7名(敬称略)

(文=伊藤、写真=末次)

 

第22回寄席研究会報告

第22回寄席研究会は平成30年11月19日(月)に、新宿末廣亭で11月中席昼の部観賞会を開催しました。今回も落語協会担当の寄席です。

今回は地味な噺家が多かったせいか、1階席はほぼ満員となったものの、2階を開放するまでにはなりませんでした。
会員の参加もイベント疲れのせいもあって5名とやや寂しいものでした。

18組の出演のうち落語以外の色物は7つですが、残念ながらいつもほど笑えるものは、ありませんでした。その中で落語協会では珍しく講談(宝井琴調の堀部安兵衛談)がありました。俗曲は以前にも聞いたことのあるワセダOGの柳家小菊でしたが、マイクの位置が悪くよく聞き取れませんでした。

落語の方も、枕の部分(客の心を掴む上で大事なところなのです)が長すぎて、肝心の落語が中途半端に終わってしまうものが幾つかありました。

今回の寄席研で印象に残った噺を二つ紹介します。
一つはトリの柳家権太楼が30分以上かけて熱演した「にらみ返し」です。大晦日の長屋の熊五郎と掛け取りのやりとり、その後に言い訳屋が登場し、無言でにらみつけ、取り立て屋を追い返すという滑稽噺ですが、権太楼の表情は爆笑ものでした。

もう一つはトリ前の春風亭一朝の「看板のピン」(別名見せかけのピン)です。
サイコロ賭博を題材にした噺ですが、隠居の老親分のサイコロ振りに感心した若者が、それを真似てしくじりをするというもので、一朝のベテランの味が出ていました。主人公が他人の真似をして失敗する噺は結構ありますが、ご存知の「時そば」を今回はこれもベテランの柳家小満んがテンポよく演じました。

終演後はいつも通り末廣亭の隣の焼き鳥屋・庄助で懇親会を開き、5人で落語談議に花を咲かせました。次回は来年2月か3月を予定しています。是非ご参加下さい。

参加者:荒木、栗原、佐藤俊、末次、伊藤、以上5名(敬称略)。

(文=伊藤)




第21回寄席研究会報告

第21回寄席研究会は、今回初の試みとして国分寺稲門会主催の「国分寺寄席」を観賞しました。国分寺稲門会は毎年夏に、金原亭馬生一門を呼んで「国分寺寄席」を開催しており、今回が8回目です。
従来は色々な伝手を頼ってチケットを入手していましたが、今回は寄席研が窓口となり、交渉の結果18席確保しました。過去の寄席研参加者及び国分寺寄席参加者に呼びかけたところ即完売となってしまい、HP等でお知らせする事が出来ませんでした。毎年370席のホールを一杯にする国分寺稲門会のパワーに感心します。

●第8回国分寺寄席観賞会
・日 時:平成30年8月30日(木) 13時30分から16時30分
・場 所:国分寺いずみホール
・料 金:全席自由 1,500円
・出演者:金原亭馬生一門外
・演 目:前座 小駒「子ほめ」  二ツ目 馬久「道具屋」
     真打 馬治 「代書屋」 真打 馬玉「転宅」
     翁家小花 太神楽曲芸
     トリ 馬生「抜け雀」
     一同総出 茶番・大喜利

・参加者:荒木・友人・井垣・大島・小川・勝見・河崎・国友・栗原・小山・櫻井・佐藤俊・末次・鈴木・滝沢・村木・山本・伊藤徹、以上18名(敬称略)

なお有志14名は終演後、国分寺駅前北海道で懇親会を行いました。

(文=伊藤)

第20回寄席研究会報告

第20回寄席研究会は2018年6月27日(水)に、新宿末廣広亭で6月下席昼の部観賞会を開催しました。今回も落語協会の担当の寄席でした。

最近は落語人気が復活してきたのか、若い世代も多く、開演30分前から行列が出来、1時頃には1階席はほぼ満員となり、2階も開放される状況でした。ただ今回の寄席研は、コアメンバーで都合のつかない人が多かったため、参加者は5名とやや寂しいものでした。
プログラムでは後半の予定の人気者・春風亭一之輔が早々に登場、狸がお札に化ける「狸の恩返し」を演じましたが、10分少々では物足りないものでした。
次の橘家文蔵の「泥棒」は、泥棒が家人に同情してスッテンテンになってしまう噺で、聴きごたえがありました。その後は落語協会会長の柳亭市馬の「八百屋」、元会長の鈴々舎馬風の「猫の災難」と続きました。馬風はいつも漫談ばかりでしたが、今回は久し振りの落語でした。

プログラムにはない柳家小里んはベテランの味で「長短」を演じ、紙切りの第一人者・林家正楽は無理なリクエストをこなして、観客を喜ばせました。

トリは三遊亭歌奴、2年半前にやはりトリで「大岡政談」を聴きましたが、今回は私は初めて聴く「片棒」です。3人息子が父親の葬儀をどう営むかという噺ですが、長男は豪華に、次男は粋に、三男は火葬だけという噺をよく通る声で演じました。

終演後は隣の焼鳥屋・庄助で懇親会を開き、5人で盛り上がりました。

次回は8月30日に国分寺稲門会が主催する金原亭馬生一門「国分寺寄席」を寄席研として鑑賞しようかという提案があり、決定しましたらHPでお知らせします。

★参加者:井垣、佐藤俊、末次、山本、伊藤、以上5名(敬称略)

(文=伊藤、写真=山本)



 

第19回寄席研究会報告

第19回寄席研究会は2018年2月26日(月)に、新宿末廣亭で2月下席昼の部観賞会を開催しました。今回も落語協会の担当の寄席でした。

今回の寄席研の一番の狙いは、今年10月13日(土)に開催される小平稲門会設立30周年記念総会のアトラクションに出演予定の柳亭こみちさん(早稲田OGの真打)の落語を聴くことです。こみちさんの出番が早いため、今回参加の会員7名はほぼ12時の開演時に集合し、比較的前の座席で鑑賞することが出来ました。
こみちさんは3番目の登場で、演題は「熊の皮」です。女房の尻に敷かれる物覚えの悪い亭主の噺で、伝言を忘れないように演題にちなんで「森のくまさん」の替え歌を挟むという珍しい趣向をこらしていました。

次のお目当ては古今亭菊之丞でした。NHKの落語ザ・ムービー(噺家のセリフに合わせて俳優が口パクで演技をする番組)にもたびたび出演する若手の人気噺家です。TVと同題の、主人と女将からそれぞれ買収される小僧の「権助魚」を演じました。ただ、寄席はトリ以外は原則15分が持ち時間のため、やや物足りない感じがしました。

2時からの出番は柳亭燕路、前述の柳亭こみちさんの師匠で、彼も早稲田OBです。テンポの良い口調で、お馴染みの亭主今何時かの「時そば」を聴かせてくれました。
トリ前の入船亭扇遊は、新入りの女中に番頭以下3人が夜這いを仕掛けようとしてしくじる噺ですが、今迄聞いたことがありませんでした。
落語通の佐藤俊さんが後で調べてくれたところ「引っ越しの夢」というオチがそのまま題名になっていました。

トリは柳亭小燕枝の「らくだ」です。私事で恐縮ですが、この落語については小学5年の時、エノケンの「らくだの馬さん」という喜劇映画を見た記憶が残っています。勿論、落語が題材とは全く知るはずもありませんでしたが。本来この噺は1時間ものですが、小燕枝は前半部分を30分ものに仕上げて演じました。ベテランの味が感じられました。

終演後は恒例の焼き鳥屋・庄助で懇親会を開きました。30周年記念で寄席研は何をするか話題になりましたが、結論には至りませんでした。

次回は6月か7月を予定しています。是非ご参加下さい。

★参加者:井垣、国友、栗原、佐藤俊、松村、山本、伊藤、以上7名(敬称略)

(文=伊藤)

 

第18回寄席研究会報告

第18回寄席研究会は10月25日(水)、新宿末廣亭で10月下席昼の部観賞会を開催しました。今回も落語協会担当の寄席でした。末廣亭は落語芸術協会の寄席と10日毎に交替で開催されます。
寄席研究会_201710
前回6月開催の時は、開演早々に2階席まで埋まり、会員2名が入場出来ないというハプニングがありましたが、今回は通常通り(というより通常以下)で30名の団体予約があったものの1階だけで納まりました。

前半のお目当ては桂才賀、1年前の寄席研でトリをとった時と同じ演題の新作「カラオケ刑務所」でしたが、罪状と歌詞がピッタリで観客を沸かせました。超ベテランの三遊亭円丈は、前代未聞のカンペを目の前に置いての落語でしたが、円丈ならまあいいかという雰囲気でした。お中入り前の柳家小さんの「親子酒」は先代の父親も得意の噺で、聞きごたえのあるものと思いました。

後半の柳家小里んは、囲碁の対戦に泥棒が絡むという噺(題名?)で、テンポが良くベテランの味が出ていたと思います。
トリは入船亭扇好で、私は彼の落語を聞くのは初めてです。(兄弟弟子の扇辰は高校の後輩で何度も聞いていますが。)
演題はお馴染みの江戸っ子の拾った財布をめぐる喧嘩から始まる「大岡裁き・三方一両損」でしたが、張り切りすぎてか何回かかんでしまったようです。

終演後は恒例の焼き鳥屋・庄助で懇親会を行いましたが、寄席の話以上に先日の稲門祭そして総選挙の話で盛り上がりました。
次回は来年2月を予定しています。是非ご参加下さい。

★参加者:井垣、国友、栗原、末次、松村、山本、伊藤、以上7名(敬称略)

(文=伊藤、写真=国友)