第53回散策の会報告

清澄・白河界隈を歩く

令和4年11月26日

「回想法」というものをご存知でしょうか? 神社・仏閣や郷土博物館を訪れると昔を想い出して、脳が活性化するという心理療法の一つです。今回はみなさんの脳にぜひ若返ってもらいたくて、このような場所を訪ねてみました。
(写真はクリックすると拡大されます)

withコロナ時代でも元気な13人


☆深川江戸資料館
(白河1-3-28)(入場料400円)

空模様があやしいので、まずは屋内の「深川江戸資料館」を訪れました。
ここには江戸・深川の町並みがリアルに再現されていました。表通りの大店や路地裏の長屋にはそこの住人たちのさまざまな生活道具が展示されています。船宿の前の掘割には猪牙舟が繋がれ、八百屋の店先には冬野菜が並べられています。鰯雲の空はトワイライトから満月へと見事なグラデーションを見せながら移り変わっていきました。また物売りのかけ声や猫の鳴き声など心憎い演出が各所にみられ、ボランティアガイドの40分にわたる解説を聞きながら、しっかり江戸時代の生活空間にワープすることができました。

江戸・深川の町並みを再現

熱弁のボランティアガイド

船宿の船頭の長屋


☆霊巌寺
(白河1-3-32)

ここは江戸時代の初期に霊厳島に霊厳和尚が建てた寺が振袖火事(1657年)で焼失し、この地に再建されたものです。江戸六地蔵の一つである地蔵菩薩(高さ2.7m)や、江戸中期の老中松平定信の墓に手を合わせました。

なお六地蔵とは深川に住む地蔵坊正元という僧が広く寄進者を集めて、病気平癒を願って江戸の出入り口に造立したもので、水戸街道に置かれたのがここです。その他の品川の品川寺(東海道)、新宿の太宗寺(甲州街道)巣鴨の真性寺(旧中山道)の地蔵はすでに当会としては拝顔していて、残りで現存しているのは浅草の東禅寺(奥州街道)にあります。

『皆の衆 足元に気をつけての』


☆清澄公園
(江東区清澄2丁目、3丁目)(入場料65歳以上70円)

次は近くに広がる「清澄庭園」へ。こんな所にこんな素敵な公園が!と思うような場所です。ここは江戸時代には紀伊国屋文左衛門の屋敷だったといわれていますが、明治の初期に三菱の創業者の岩崎弥太郎が造成し、弟の弥之助が大改造した回遊式築山林泉庭園です。錦秋の時期を狙った甲斐があり、池面に映るイチョウやモミジが鮮やかな色彩を重ねていました。池の中には「磯渡り」という飛び石づたいに歩くルートもありましたが、なにせご高齢者集団、よろけてドボン!では洒落にもならないので、面白さを避けて安全な道を選択しました。当会でこれまでに見た大庭園はほとんど大名庭園でしたが、ここは旧古河庭園と共に明治の実業家の作った珍しいものです。それに全国各地から取り寄せた数多い奇岩珍石も見慣れぬものばかりでした。石が滝となり山となり川となる造形の妙は、興味ある人には必見でしょう。「東京都指定名勝」になっています。土曜のせいか入園者もほどほどありました。

黄・緑・赤そして雪吊りに囲まれて

石で流れと滝を造形

曇りだったのが残念


その後、隅田川近くを北上し相撲の「大鵬道場・大嶽部屋」(元十両大竜)の前を通ります。ここは九州場所を沸かした王鵬(大鵬の孫)が所属しています。いまは相撲部屋といってもごく普通のマンションで、看板がなければそれとは分かりません。

☆萬年橋(清澄3~常磐1)
小名木川に架かる鉄橋で昭和5年に建造されました。この橋のたもとが清洲橋のもっとも美しく見える角度とされています。江戸時代の木橋は、船の航行を妨げないようにと高く虹型に架けられていて、葛飾北斎の「富嶽三十六景」、歌川広重の「名所江戸百景」でも見られます。

橋を渡り、芭蕉の住み家(芭蕉庵)があったといわれる場所、いまの芭蕉稲荷神社を参拝しました。大正時代に台風による高潮でこの界隈が浸水し、水の引いた後、芭蕉が愛好したと思われる石蛙がここの土中から出土したことに由るようです。

「ふる池や 蛙飛こむ 水の音」


☆芭蕉庵史跡展望庭園
(常磐1‐1-3)

ここは小名木川が隅田川に注ぐ角地にあるごく狭い公園です。ここにある芭蕉の座像は午後5時になると、なぜか隅田川に向かって自動的に向きを変えるそうで、力を入れて押してみたら、確かにわずかに動きました。芭蕉に夜の暗い水面を眺めさせ、どういう意味があるのでしょう。月でも眺めさせたいのでしょうか?

芭蕉ってこんな顔なの?


このあと再び萬年橋から別の小路に入り、「高田川部屋」(元関脇安芸乃島)を眺め、清澄白河駅へ引き返しました。幸い雨には見舞われず、二時間半・約6
千歩の旅は無事終わりました。

ところで、近江商人の「三方よし」風にいえば、当会は「参加者よし」・「訪問先よし」・「世話役よし」(手前味噌)の関係にあります。とりわけ「訪問先よし」はレガシーを現在まで維持・管理されている関係者のさまざまなご努力があればこその結果です。心よりリスペクトを捧げます。そして「参加者よし」と「世話役よし」はウィンウィンです。

【散策後の懇親会】
新型コロナウイルス感染防止のため、今回も行いませんでした。

【参加者】
市川・伊藤・大河原・大河原夫人・梶川・國友・小林・古林・佐藤・竹内・松村・山本・山本夫人(13人)

                  (文=佐藤(俊) 写真=松村・佐藤)

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