★わが国の札所巡りは、西国、坂東、秩父の百観音を対象としたものが代表的ですが、全国各地には、それぞれその土地に根ざした多くの札所があり、各地で篤い信仰の対象となっています。しかし、中で最も歴史のあるのは西国であり、養老二年(718)に大和長谷寺の徳道上人によって創められましたが、その後長らく中断し、永延二年(988)に花山法王が本格的に再興して、札所の設定によって巡礼が盛んになったものといわれております。
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第1番札所 青岸渡寺 |
第2番札所 紀三井寺 |
第3番札所 粉河寺 |
第4番札所 施福寺 |
第5番札所 葛井寺 |
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★観音経が、観音は33の形になって衆生を救うとしているのに基づき、33の霊場が設けられましたが、順序は過去にかなり変動があったようで、最終的には、江戸時代に坂東からの巡礼の便宜のために、現在の順序となったものといわれています。私が仏像、仏塔をはじめ仏教美術に関心を持つようになったのは、昭和40年に大阪勤務となった頃に遡ります。その頃、毎日曜日には、奈良、京都等の古寺や庭園を巡り歩くことが最大の楽しみでした。既にその頃、西国の札所の一部は回っていましたが、未だ大した意識は持っていませんでした。
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第6番札所 壺坂阪寺 |
第7番札所 岡寺 |
第8番札所 長谷寺 |
第9番札所 興福寺 |
興福寺・南円堂 |
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★その後、東海、関東への勤務時代には、美術書等で密かに仏像や札所の研究は続けてきました。再び関西への勤務となったのが昭和50年でした。以降、札所への情熱が再燃し、一部の札所には何回となく巡り歩き、その後の関東、東北、東京への転勤、出向、中小企業5社への勤務の過程の中で、昭和60年頃から、西国、坂東、秩父の日本百観音霊場を、正式に2回ずつ回り終えました。
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第10番札所 三室戸寺 |
第11番札所 上醍醐寺 |
第12番札所 岩間寺 |
第13番札所 石山寺 |
第14番札所 三井寺 |
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★1回目には朱印帳を持って、2回目には掛け軸を持って、今までに何回か訪ねたところにも再び正式に巡り歩きました。雪の中を凍えて歩いたり、炎天下をふらふらになって歩いたこともありました。しかし、朱印帳や掛け軸を満杯にすることを当面の目的にして、結果的に長い年月を要しましたが、何とか全部を巡り終えることができました。
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第15番札所 今熊野観音寺 |
第16番札所 清水寺 |
第17番札所 六波羅蜜寺 |
第18番札所
頂法寺 |
第19番行願寺 |
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★私は仏教に格別深い信仰があるわけではありませんが、自然の風物に触れ、静かな霊地の雰囲気に浸っていると、本当に心が洗われ、安定した心境に達します。また、途上で知り合った多くの人々から、多大な人生の教訓を得ることもできたと思います。勿論、巡礼は人それぞれに目的は異なっているでありましょう。親や配偶者または子供を亡くしたこと、事業に失敗したこと、勤務先との軋轢、就職の失敗、人生への疑問等、巡礼の動機は人それぞれでありましょう。しかし、動機は何であっても良いと思います。巡礼がその人の人生に何らかの効果をもたらしてくれるでしょう。
★私は、日本百観音の二回にわたる巡礼の間を縫って、会津、江戸の各三十三観音も巡り終えましたが、総じて言いますと、西国三十三観音の印象が一番強烈でした。そこで、喜寿を超えた今、この体験記を書く気分になりました。
(HP管理人:上掲の寺院の写真はwikipediaから転借しました。)
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