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いなほ随想
特 集
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仏塔巡り歩る記 |
滝沢公夫(30法)
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<第3集>
連載第21回
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[福島県編] |
◆会津で唯一の古塔[法用寺・三重塔(県指定重文)](福島県大沼郡会津美里町雀林三番山下3554)
★いよいよ福島県に入る。特にここ会津は、私が全国転勤の中で勤務したことがあり、思い入れが深いところだ。戊辰戦争の遺恨は一部で残っているものの、住民は朴訥で、外来者には大変親切な面がある。
★法用寺の三重塔へは只見線の会津高田駅から行くが、歩くとかなりあるので、タクシーを利用したい。雀林という集落を目指すと、緩やかな上り坂になっており、中腹に仏塔がちらりと見えてくる。
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法用寺・三重塔 |
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★仁王門から境内に入ると、ややがらんとしており、左手奥に仏塔がひっそりと建っている。高さ17メートルばかりで、本体の軸部がややずん胴だが、軒下の組物には彫刻も見られる。しかし、全体にかなり痛みがひどく、一部に破損している所もある。文化財がこんなことで良いのかと心が痛んでくる。もともと奈良時代の建立だが、現在のものは江戸時代中期に再建されたものという。
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法用寺・三重塔 |
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三重塔・初層 |
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★寺は奈良時代の開基で、会津の天台宗の中心として発展してきたが、次第に衰退し、現在は無住の寺となっており、住民が交代で管理しているようだ。境内の建造物は、仏塔以外も荒廃し、本堂、仁王門も痛みはひどい。ただ、本堂内の厨子等は国指定重文となっている。
★ここは桜の名所になっており、仏塔の前の池を取り込んだ風景は素晴らしいものだ。堂塔の補修と相俟って、人々の信仰と観光の中心となることを切に願いながら帰途についた。
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◆「会津ころり三観音」の寺[恵隆寺(立木観音)・三重塔](福島県河沼郡会津坂下町塔寺松原2944) |
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★ここは只見線塔寺駅から20分ばかりのところにある。仁王門を入ると、正面には茅葺きのどっしりした立木観音堂があり、右手に新しい三重塔が鎮座している。
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恵隆寺・参道 |
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★もともとこの場所には、江戸初期には素晴らしい仏塔があったようで、その礎石を利用して平成12年に再建されたものだ。軸部の逓減が極端で、風変わりな感じを受ける。用材には地元の杉と桐を使用しているとのことだ。塔内には大日如来を安置し、寺では小金塔と呼んでいる。
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恵隆寺・三重塔 |
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★立木観音堂内には高さ8メートルの千手観音が屹立しており、これは鎌倉時代のものとして我国最大だ。じっくり見上げていると、何となく有難さが湧いてくるようだ。抱きつき柱があり、これに抱きつけばピンピンころりと往生できると言われ、訪れる信者は大変多い。私も来るたびに抱きついていた。中田観音、鳥追観音と併せて「会津ころり三観音」と称される。
★恵隆寺は奈良時代に遡る古刹で、色々な経緯はあったものの、どっしりと地元に根付いて繁栄している。立木観音堂とその中の十一面観音像は、ともに国指定重文となっている。また、会津33観音霊場31番札所だ。立ち去りがたい雰囲気を持つ中、振り返りながら帰途についた。
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◆浜通り唯一の古塔[高蔵寺・三重塔(県指定重文)](福島県いわき市鶴巻50) |
★ここは大変不便な立地にあり、自動車を利用する方が良い。薄暗い並木に続いて長い石段があり、喘ぎながら登る。突き当たりに観音堂があるが、その手前の左側の狭いところに高蔵寺の三重塔が建っている。仏塔は大変薄暗い場所にあり、何ともひっそりとしている。木立に覆い隠されている感じだ。小さく可愛らしい。全般的に簡素な造りだが相輪は立派だ。
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木立に隠れるように |
高蔵寺・三重塔 |
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★江戸時代中期の建立で、県指定重文となっており、福島県浜通りでは唯一の仏塔だ。寺は奈良時代の開基といわれ、各時代の権力者により援助を受けて、観音霊場として地元の厚い信仰を集めて来た。現在も「高倉観音」の通称で、磐城33観音霊場のひとつとなっており、千手観音像は市指定重文となっている。ひっそり建っている仏塔を振り返りつつ帰る。
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◆塔巡りの難所のひとつ[穏津島神社・三重塔(県指定重文)](福島県安達郡東和町木幡治家) |
★ここはバスを利用してもかなり歩くことになり、自動車を利用しても、降りてから急な山道をかなり登ることになる、福島県では難所のひとつだ。山の中腹は鬱蒼たる林となっていて、ここに何棟かの社殿等が建っている。
★神社の本殿の手前右手に、比較的風格のある三重塔がある。朱塗りで全体的に荒れているが、過去何遍も改修が行われて来たようだ。室町時代の建立で、県指定重文となっている。ただ、兵火や倒木による破損は甚だしく、江戸時代と明治時代に本格的修理がなされたと言う。
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穏津島神社・三重塔 |
上方から三重塔を望む |
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★建立は奈良時代に遡り、三神を祀って地元の信仰を集めてきたが、特に二本松藩主の支援は大きかったようだ。境内には十一面観音の石仏もあって、神仏習合の神社としての特色も見られる。当地では「木幡弁天」と言われ信者は多いようだが、普段は本当に寂しい、不便な地の神社の仏塔だ。
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連載第22回 |
[福島県編]続き
◆百人一首で有名[文知摺観音・多宝塔(県指定重文)](福島市山口文知70)
★福島駅からバスで行くが、タクシーを利用するほうが良い。境内の観音堂から石段を登って行くと華麗な仏塔に達する。各所に彫刻があり、軒裏等は彩色されていて、美しい。銅板葺きの屋根で、相輪は本格的だ。江戸時代後期の建立で、県指定重文となっている。東北地方で文化財に指定されている多宝塔はここだけで、貴重な存在だ。
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文知摺観音(安洞院)・多宝塔 |
文知摺石 |
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★文知摺観音寺は正式には安洞院と称し、開基の時期は判然としないが、火災等により江戸から昭和にかけて次々と再建が為されていった。境内には各種の堂宇や句碑等が散在している。
★特に有名なのは、鏡石とも言われる文知摺石で、これは小倉百人一首の「みちのくの 忍ぶもちずり誰故に 乱れ染めにし我ならなくに」という歌を作った、源融と虎姫との恋物語の名残りを留めている。更に境内には、芭蕉、子規等の文人が訪れて、句碑や歌碑も散在しており、何とも風雅な雰囲気が漂う。歴史を偲びながらゆったりと過ごしたい所だ。
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[山形県編] |
◆国内最高峰の名塔[羽黒山(出羽三山神社)・五重塔(国宝)](山形県東田川郡羽黒町手向7)
★ここは鶴岡駅からバスで40〜50分程度、下の隋神門から入ると10分くらいで着くが、神社に参拝するには、更に2キロ近くの長く急な石段を登ることになるので、一番上の羽黒山頂上までバスで行き、ここにある出羽三山神社に参拝してから長い石段を下って来るのが良いようだ。
★長い石段は杉の巨木に覆われ、昼なお暗い雰囲気だ。殆ど下まで来ると、右手の巨木の中に、突然孤立した五重塔が現れる。夢にまで見た仏塔で、軒の出が深く、本当に均整のとれた優美さだ。この雪深い地で、孤立して厳存している力強さにも感動させられる。法隆寺等の名塔に匹敵し、東北地方では特にずば抜けている。南北朝時代の建立で、国宝に指定されている。
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木立の中の仏塔 |
出羽三山神社・五重塔 |
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★この神社は、出羽・月山・湯殿山の三社が合同して出羽三山神社となっており、起源は推古天皇時代に遡るが、数々の経緯を経て、神仏習合から神式へと変遷して行ったようだ。現在、仏塔は三社の所有となっている。
★この五重塔は有名画家がとりあげたり、企業のカレンダーにも採用される例もあり、かなり有名になってきている。ただ、実際にここに立って拝んだ時に、本当にこの仏塔の素晴らしさが分かるものと思う。
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◆古墳群中の仏塔[安久津八幡神社・三重塔(県指定重文)](山形県東置賜郡高畠町安久津八幡山)
★奥羽線高畠駅に降りると駅舎に温泉があり、思わぬ贈り物に喜んで入浴する。気分のさっぱりしたところで、タクシーを使う。歩くと30分は掛かるようだ。次第に古代の様相が出てきて、田舎ながら大変古くから開けていた地域であることが伺われる。参道に入ると、左手のやや大きな池の中に島があり、ここに目指す安久津八幡神社の三重塔が佇んでいる。池に仏塔が反映し、何とも素晴らしい眺めだ。
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安久津八幡神社・三重塔 |
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三重塔・初層 |
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★仏塔は屋根の大きさに比して軸が短く、やや押しつぶされた形態だ。一部に彫刻も見られる。江戸時代後期の建立で、県指定重文となっている。当地域では唯一の多層塔だ。
★神社は平安時代の開基で、これ以降、鎌倉鶴岡八幡宮の勧請等数々の経緯を経て隆盛を極めて来たものらしい。拝殿の裏手は広い古墳群となっており、また、町内各所に遺跡があって、文化財の豊富な町だ。このような環境に存在する仏塔は貴重なものだと思う。
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連載第23回
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[秋田県編]
◆当地随一の古社[日吉八幡神社・三重塔(県指定重文)](秋田市八橋本町1−4−1)
★日吉八幡神社は秋田県庁のすぐそばにあるが、いかにもひっそりとしている。隋神門を入ると、すぐに三重塔がある。高さ約20メートルと堂々としているが、構造上各所に種々の工夫が凝らされているようで、一寸風変わりな感もある。
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日吉八幡神社・三重塔 |
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★仏塔は江戸時代中期の建立だが、その後改築が行われているようだ。県の指定重文となっている。
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日吉八幡神社・参道 |
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★一番奥の拝殿は、色々と彫刻が施され、絢爛豪華な雰囲気だ。神社は平安時代の創立だが、その後種々の変遷があり、江戸時代初期には、佐竹氏が水戸から移封となって崇敬の念が厚く、徳川への怨念も籠っているとも言われる。やや複雑な思いで、ひっそりとした古社を後にした。
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[宮城県編] |
◆西方極楽浄土の仏塔[西方寺(定義如来)・五重塔](仙台市青葉区大倉上下1)
★仙台駅からバスで1時間半、まさにに山奥のようなところにある。大変不便な場所に、多くの人々が押しかけると聞いて不思議だった。行ってみて初めてなるほどと納得した。場所に不似合いなほどのバスターミナルがあり、参道の両側には名物の三角の油揚げや各種の土産物の店がずらりと並んでいる。
★山門から境内に入ると、旧本堂、新本堂や色々な堂宇が散在している。そして一番奥に浄土庭園がある。清々しく広大な庭園に度肝を抜かれ、その真ん中に目指す五重塔が屹立している。
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西方寺(定義如来)・五重塔 |
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★仏塔は高さ30メートルばかり、柿葺きで構造は比較的簡素のようだが、均整が取れて堂々としている。それこそ天空に突き刺さっているような感覚だ。昭和61年に、世界平和を祈念して、国内の名塔を参考にして建立されたとのことで、大変新しい仏塔だが既に大変な貫禄だ。
★西方寺の開基は平安時代に遡り、僧・定義の活躍があったが、現在地での創立は江戸時代中期のようだ。山号は極楽山、寺号は西方と、大変有難い名前がついていて、各種の願をかける信者が、わざわざ登ってくるのが分かった。
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西方寺・新本堂 |
西方寺・庭園から五重塔を望む |
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★境内には資料館もあり、その他万事施設は整い、僧侶の対応も大変親切だ。雨の降りしきる生憎の天気ではあったが、素晴らしい仏塔を何回も振り返りながら、大きな満足を持って下山した。
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◆平成の名塔[孝勝寺・五重塔](仙台市宮城野区榴岡4−11−11) |
★仙山線榴ヶ岡駅からすぐ、都市開発が進むだだっ広い場所にある。宮城県沖地震により壊滅的打撃を受け、都市計画に沿って境内も大改修が行われてきたとのことだ。
★孝勝寺の五重塔は、山門を入ると左手に屹立している。高さ30メートルばかり、かなり大型だ。各所に綿密な配慮がされた構造で、均整が良くとれて堂々としている。平成14年の建立で、出来立てのほやほやだが、良く出来ている。まさに平成の名塔だ。
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孝勝寺・五重塔 |
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★寺は鎌倉時代の開基で、その後伊達氏の援助等もあって発展したが、火災等の被害も相次ぎ、その都度再建されてきたものという。現在、東北地方唯一の日蓮宗本山となっており、それだけの風格を持った寺だ。仏塔も、本来余り新しいものは本稿で取り上げていないが、敢えて取り上げることにした。
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連載第24回 |
[岩手県編] |
◆かっぱ伝説の地の仏塔[福泉寺・五重塔、多宝塔](岩手県遠野市松崎町駒木)
★釜石線の遠野駅に降り立ち、バスの時刻表を見ると、一日数本しかないため、やむを得ずタクシーを利用する。ところが、運転手は大変親切で、色々な民話を語ってくれたり、歌を歌ってくれたりする。観光地のタクシーはこうでなければ、と思う間もなく、福泉寺の山門に着く。境内は山林の中にあって、丘陵地をうまく利用している。大変広大且つ急坂があるので困惑していると、運転手は、急坂の上の観音堂と多宝塔まで一緒に行きましょう、と同道してくれた。
★頂上に出ると、今度は観音堂が開いていない。すると運転手は、寺務所に電話してくれ、しばらくすると尼僧が息を切らせて登って来た。直ちに開扉してくれて、名物、大観音に対面した。十一面大観音は高さ17メートルと巨大で、二代目住職が20年かけて、自分で彫刻した一木造りであり、日本一の規模だという。完成は昭和40年になってからで、現在、当地の観光の目玉の一つとなっているようだ。
★多宝塔はこの観音堂の左隣りにある。昭和57年建立という新しい仏塔だが、既に適当な古色がついて、実に堂々と鎮座している。構造は通常通りで、特に奇をてらったところが無く、気持ちが良い。高さは18メートルという。
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福泉寺・多宝塔 |
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★急坂を下りていくと、中腹に五重塔がある。世界平和を祈念して、平成2年に建立された、出来立てほやほやだが、常識的な構造で、銅板葺きの屋根の逓減も理想的だ。全体に安定感があり、清々しい雰囲気だ。
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福泉寺・五重塔 |
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五重塔・初層 |
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★寺は大正前期の開基で、大変新しいが、住職の積極的取り組みにより、既に当地の名所になっている。紅葉の季節は特に素晴らしいようだ。広大な境内の清掃は良く行き届き、僧侶の対応も親切で、本当に気持ちの良い寺であった。
★帰りは、運転手が、名所「かっぱ淵」まで送ってくれた。大変気持ちの良い運転手に当たった幸運に感謝し、チップを渡したのであった。その後「伝承園」等を見て回り、丁度来たバスで中心部に戻った。「博物館」「昔話村」等を見物し、町中をゆっくりと散策、民話のふるさとを十分楽しんだ。
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福泉寺・伝承園 |
かっぱ淵 |
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★夜は、宿泊した駅舎内のホテルの紹介で、市内の酒場を巡り歩き、酒場のマスターとも意気投合して、楽しい一夜を送ることが出来た。それにしても、遠野は、民話でも、文化財でも、人情でも、素晴らしいものを持つところであることを実感した。
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[青森県編] |
◆日本最北端の重文[最勝院・五重塔(国指定重文)](青森県弘前市銅屋町63)
★弘前駅から繁華街を20分ほど歩いたところにある。小高い場所にある山門を入ると、境内は広大で、明るい雰囲気に満ちている。砂利を敷いた部分が多い。
★最勝院の五重塔は、山門のすぐ左に屹立している。簡素ながら各所に工夫が凝らされているようで、また、屋根の逓減がややきつく、全体に安定感がある。江戸時代初期の建立で、国指定重文となっており、我国最北端の重文の仏塔として貴重な存在だ。銅板葺きで、高さは30メートルばかり。
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再勝院・五重塔 |
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★最勝院は室町時代の開基だが、その後何回か移転があったようだ。現在、津軽88ヶ所霊場等幾つかの霊場となっており、寺の格は当地では大変高く、多くの信者を集めている。
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最勝院の境内から五重の塔を望む |
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★近くには、弘前城や多くの寺があり、文化財の宝庫のような市内だ。駅前はすっかり近代的になっているが、一寸離れると雰囲気が全く異なる。この地までやって来た感慨を胸に駅に向かった。
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◆本州最北の仏塔[青龍寺(昭和大仏)・五重塔](青森市桑原山崎45) |
★青森駅から、一時間に一本のバスに乗車、30分ほどだ。市内でも全く辺鄙な場所にある。バスからも、小高い緑の山を背景にして、青龍寺の五重塔が望まれる。素晴らしいアプローチだ。
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青竜寺・参道 |
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★境内は緩やかな丘陵になっており、森林の中に堂塔が散在している感じで、極めて広大だ。仏塔は、金堂の左側の山手に厳然と屹立し、高さは40メートルばかりあるが、大変安定感のある堂々たる仏塔だ。平成8年に建立されたばかりだが、コンクリートを使わず、総て木造で、屋根も本瓦葺きとなっている。
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青竜寺・五重塔 |
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★寺は、先代住職が、昭和56年に真言宗の一派として開基したばかりの、本当に新しいものだが、次々と堂塔を建立し、現在では観光客も多く訪れるようになっている。
★金堂も素晴らしいもので、堂内には数々の仏像等が陳列されている。また、境内の一番奥には、「昭和大仏」と称する露座の巨大な大仏が鎮座しており、これを目指す観光客が多いようだ。総体的に、観光寺院化しているものの、仏塔は本当に美しく、木の本物を使用しているのも好感が持てる。充実感を抱いてバスの人となった。
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昭和大仏 |
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★北海道については特に紹介するものが無いので、以上で、駆け足ながら東北・北海道を終わり、東海・北陸に移りたいが、紹介できなかった仏塔を次に掲げておきたい。
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[東北・北海道の仏塔一覧](既に紹介したものを除く)
<五重塔・三重塔・二重塔・宝塔・小塔> |
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[福島県]
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寺 名 |
所 在 地 |
1.観音寺・五重塔 |
福島市上鳥渡観音寺7 |
2.安達ヶ原・五重塔 |
福島県二本松市安達ヶ原4−100 |
3.勝行院・三重塔 |
福島県いわき市常磐湯本町三函303 |
4.会津村・三重塔 |
福島県会津若松市浅山堂ヶ入丙 |
5.遍照院・三重塔 |
福島市太平山3−21 |
6.大蔵寺・二重塔 |
福島市小倉寺捨石7 |
7.蓮光寺・二重塔 |
福島市笹谷寺町17 |
8.常福寺・多宝塔 |
福島県いわき市赤井嶽1 |
9.長谷寺・多宝塔 |
福島県伊達郡保原町5−30 |
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[山形県] |
寺 名 |
所 在 地 |
1.善宝寺・五重塔 |
山形県鶴岡市下川関根100 |
2.慈恩寺・三重塔 |
山形県寒河江市慈恩寺鬼越31 |
3.立石寺・三重小塔 |
山形市山寺4 |
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[秋田県] |
寺 名 |
所 在 地 |
1.北原邸・五重塔 |
秋田県本荘市出戸町水林26 |
2.大龍寺・二重塔 |
秋田県男鹿市船川港鳥屋場34 |
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[宮城県] |
寺 名 |
所 在 地 |
1.陸奥輪王寺・三重塔 |
仙台市青葉区北山1−14−1 |
2.東園寺・三重塔 |
塩釜市旭町4−1 |
3.龍宝寺・多宝塔 |
仙台市青葉区八幡4−8−32 |
4.陸奥国分寺・多宝塔 |
仙台市若林区木ノ下2−8−28 |
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[岩手県] |
寺 名 |
所 在 地 |
1.聖寿寺・五重塔 |
盛岡市北山2−12−15 |
2.普門寺・三重塔 |
陸前高田市米崎町竹沢181 |
3.円満寺・多宝塔 |
一関市山目館6 |
4.石応禅寺・宝塔 |
釜石市大只越町1−1−1 |
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[青森県] |
寺 名 |
所 在 地 |
1.法光寺・三重塔 |
青森県三戸郡名川町法光町20 |
2.妙経寺・三重塔 |
青森県黒石市京町寺町12 |
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[北海道] |
寺 名 |
所 在 地 |
1.北海御廟・三重塔 |
札幌市中央区伏見5−2 |
2.洞爺湖弁天島・三重塔 |
北海道虻田郡虻田町中島 |
3.洞爺湖湖中・三重塔 |
同上 |
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★次回(連載25回)からは東海・北陸編に移ります。
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♪BGM:Chopin[Nocturne5]arrangeb by Pian♪ |
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表紙へ |
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仏塔巡り
第1集へ |
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仏塔巡り
第2集へ |
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いなほ随想 |
|
四国遍路
顛末記 |
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海外ゴルフ場
面白話 |
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老鉄
よもやま話 |
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小平・四季の
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