★2011年5月14日、イチモクサロン会員12名は、JR御茶ノ水駅に集合、好天に恵まれた中ゆったりと散策を開始しました。地下鉄新御茶ノ水駅から根津駅まで乗車し、先ず「根津神社」に参詣しました。
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午前10時、御茶ノ水駅集合 |
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★日本武尊に遡る歴史を有する根津神社の社殿は、五代将軍綱吉が、六代の家宣の世継ぎ決定の際、1706年に造営されたものですが、すべての建物が現存し、国の重要文化財になっているだけあって、権現造りは素晴らしく、しばらく感慨深く見とれました。ただ、名物の躑躅は既に花が終わっていて、とても残念でした。
★続いて、参道にある「金太郎飴本舗」に行きました。東京で最古の金太郎飴の店で、各種の飴が楽しく、それぞれ好みのものを求めたりしました。
★ここから坂道を登って、「大名時計博物館」に行きました。古い民家風の小さな博物館ですが、陶芸家の上口愚朗が収集した、大名お抱え時計職人による和時計を50点ばかり展示しており、大変珍しいものが多く、素晴らしかったです。
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大名時計博物館で |
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★更に坂を下り、「へび道」を歩きました。もともとの河川を暗渠にしたもので、蛇のように曲がりくねっていて、誠に特異な、奇妙な感覚を持つ道路でした。
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へび坂を往く |
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★ここから少し坂を上ると「いせ辰本店」があります。珍しい各種民芸品を取り揃えており、特に江戸千代紙が素晴らしかったです。
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いせ辰の前で |
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★ここで、やや暑さを感じるようになりましたので、志村会員のなじみの喫茶店で小休止をしました。冷たい飲み物で元気を回復、再び散策を続けました。
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冷たい飲み物で元気回復 |
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★次に行ったのは「全生庵」です。山岡鉄舟が明治16年に建立した臨済宗の寺で、堂々たる本堂です。ここには、ゆかりのある三遊亭円朝の墓所もあり、幽霊画も所蔵しておりますが、幽霊画の公開は8月に限られているため残念でした。
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全生庵で |
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★次いで、すぐそばにある「大円寺」に行きました。ここには、浮世絵師・鈴木春信の碑と、彼が錦絵に描いたことによって、江戸三大美人のひとりといわれるようになった「笠森おせん」の碑があり、感慨深いものがありました。
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笹森おせんと鈴木春信の案内板 |
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★続いて、坂を下り「よみせ通り」を行きますと、いよいよ「谷中銀座」です。下町情緒たっぷりの、懐かしい感覚の活気ある商店街で、小さな店が70軒ばかり連なっています。ここで、それぞれ「焼きかりんとう」や「コロッケ」「竹細工」等、多くの楽しい商品を見繕って買い求めました。
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谷中銀座入り口 |
肉屋さんで買い物 |
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★谷中銀座の日暮里寄りには、階段になった道路「夕焼けだんだん」があります。ここからの夕焼けが素晴らしいことから名づけられたようですが、最近はビルが増えて、展望が悪くなったのは残念でした。この付近は、猫が多く見られます。
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階段道路「夕焼けだんだん」 |
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★ここで、「佃煮・中野屋」に立ち寄りました。当地で有名な老舗で、それぞれに好みのものを買い求めました。
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佃煮の中野屋で |
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★次に、多くの有名人が葬られている「谷中霊園」を参詣する予定でしたが、時間の関係で残念ながら省略し、「天王寺五重塔跡」に向かいました。この塔は1644年に建立され、1791年に再建された名塔でしたが、昭和32年の心中放火事件で全焼してしまいました。現在塔跡のみが史跡として残っています。幸田露伴の名作「五重塔」のモデルとなっている塔で、再建が進まないのは残念です。
★続いて、すぐそばの「天王寺」に参詣しました。これは、もともと室町時代に創建された感応寺という日蓮宗の寺でしたが、江戸初期に天台宗に改宗し、天王寺と称しました。江戸時代には富くじを発行していたこともあります。阿弥陀如来と毘沙門天が本尊ですが、境内にある1690年に建立した釈迦如来大仏は、なかなか見ごたえがあり、区の有形文化財になっています。
★ここで、すくそばの日暮里駅から鶯谷駅まで乗車し、懇親会場の「笹の雪」に到着しました。ここは子規も通った由緒ある豆富専門店で、老舗の貫禄は十分でした。次々に出される豆腐料理の旨さに満足し、飲み物も次第に進んで、大変盛り上がりました。
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食事の後、記念写真に納まる |
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★その後、すぐそばにある「子規庵」に行きました。3時40分の入場制限時刻寸前でしたが、比較的ゆっくりと参観できました。ここは子規が明治27年から35年の死亡まで住み、その後も母親と妹が亡くなるまで住んでいましたが、昭和20年に戦災で焼失、25年に門弟によって再建されたものです。大変忠実に再現されており、都文化史跡に指定されています。
★この狭い住宅で、脊髄カリエスに苦しみながらも多くの同志・門弟が集まり、句会・歌会に励んでいたことが偲ばれ、深い感動を覚えました。次の絶筆三句は胸を打ちます。
糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな
痰一斗糸瓜の水も間にあはず
をととひの糸瓜の水も取らざりき
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子規庵の見学を終えて |
スカイツリーを見つつ日暮里駅へ |
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★これで、今回の散策は終了し、鶯谷駅で解散しました。今回の散策は、やや長距離となり、途中坂道もありましたが、天候にも恵まれて、一同ゆったりと楽しく散策できたと思います。特に神社・寺・博物館・商店街等大変バラエティに富んだ内容で、学ぶべき点も多かったです。懇親会場も素晴らしかったと思います。また、山本・佐藤両世話役の分かりやすい解説は、大変好評でした。今後も皆さんのご意見を聞きながら、楽しい散策を企画したいと思います。
(報告・滝沢公夫、写真・荒木彌榮子&山本浩)
(参加者) 12名
荒木彌榮子・伊藤順蔵・小平道彦・小林久子・佐藤俊雄・志村智雄・志村洋子・滝沢公夫・土井洪二・野村吉宏・山本浩・横田康平 (茶色は世話役)
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