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いなほ随想
特集 |
仏塔巡り歩る記 |
滝沢公夫(30法) |
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<第4集> |
連載第25回 |
★今回から東海・北陸に入ります。
[愛知県編] |
◆「ぽっくり寺」で有名[興正寺・五重塔(国指定重文)](名古屋市昭和区八事本町78) |
★地下鉄鶴舞線の八事駅で下車すると、すぐのところにある。立木に覆われた広大な境内は、公園となっており、良く整備もされている。境内は、東山と西山に分かれており、仏塔は西山にある。本堂の真ん前、本当に目立つところにあり、大変見栄えがする。
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興正寺・山門 |
興正寺・五重塔 |
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★興正寺の五重塔は、高さ30メートル、本当に堂々としている。本体の軸がやや長く不安定な感もあるが、本瓦葺きで、各所に彫刻もある等工夫も見られる。江戸時代後期の建立で、国指定重文となっている。
★寺は江戸時代初期の開基で、徳川氏の帰依により大いに発展し、現在も知多四国88ヶ所等幾つかの霊場の札所となっており、特に「ぽっくり寺」として、多くの信者に支えられている。駅の近くにこのように広大な古刹があることに、大いに感動を覚えた。
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◆我国有数の古刹[甚目寺・三重塔(国指定重文)](愛知県海部郡甚目町東門前24)
★名鉄津島線甚目寺駅から近くにある。南大門から入ると広大な境内になり、すぐ左手に甚目寺の三重塔が屹立している。実に堂々たるもので、均整も取れており、国内でも優秀塔のひとつと言われている。
★江戸時代初期の建立で、高さ25メートルほど、三重塔としてはかなり大型だ。内部には、県指定重文の愛染明王が安置されている。
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甚目寺・三重塔 |
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三重塔・軒裏 |
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寺は、飛鳥時代の開基で、法隆寺並みの歴史を持つ古刹だ。各時代の権力者の保護と住民の信仰により発展を続けている。特に、寺に国指定重文の「青不動尊画像」があり、東海36不動尊霊場として、信者の参詣はひっきりなしだ。
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◆可愛らしい古塔[三明寺・三重塔(国指定重文)](愛知県豊川市波通37)
★名鉄豊川駅に下車すると、殆どの人は豊川稲荷に向かう。人の流れに逆らうように、踏み切りを渡って反対側に行くと、がらんとした田園風景になる。すると間もなく、美しい三重塔が見えてくる。
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三明寺・三重塔 |
三重塔・軒裏 |
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★高さ15メートルばかりの、なんとも可愛らしい小塔だ。構造はなかなか手が込んでいて、工夫が見られ、総体的に美麗な仏塔と言えよう。室町時代の建立で、国指定重文となっている。また、寺は奈良時代の創建で、本堂内の弁財天宮も国指定重文だ。
★余り人の顧みない古塔を、何回も振り返りながら、豊川稲荷に向かったのであった。
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◆市内で最古の建造物[荒子観音・多宝塔(国指定重文)](名古屋市中川区荒子町宮窓138)
★地下鉄東山線の終点、高畑駅で下車すると、10分程度で壮大な仁王門に達する。境内の建築物は、相次ぐ火災、地震等によりかなり痛んでおり、次第に復旧が進んでいるものの、不十分だ。
★多宝塔は室町時代の建立で、国指定重文となっている。高さ10メートルばかり、造りは平凡だが、各所がかなり損傷している。明治時代の大地震にも耐え、市内で最古の建築物だ。私の訪問後改修工事が完了し、立派になったようだが、未だ確認していない。
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荒子観音・多宝塔 |
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★寺は奈良時代の開基で、長く隆盛を誇ったが、江戸時代以降は相次ぐ火災等でかなりの打撃を受けてきたようだ。しかし、地元の多くの信者に支えられ、現在尾張西国33観音霊場のひとつにもなっている。また、仏塔内からは多数の小さい円空佛が発見されたとのことだ。
★試練に耐えて平然と佇む古塔を何回も見返り、複雑な心境で駅に向かったのであった。
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◆多くの文化財を保有[性海寺・多宝塔(国指定重文)](愛知県稲沢市大塚南1)
★名鉄奥田駅から30分足らず、田園風景の中にある。境内の一部は歴史公園として開放している。
★性海寺の多宝塔は、拝殿と称する建物の影になっていて、分かりにくい。銅板葺きで、構造には各所に工夫が見られ、組物も独特だ。室町時代の建立で、国指定重文となっている。高さは15メートルほど、全体に軽快で好感が持てる。内部に愛染明王を安置している。
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性海寺・多宝塔 |
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★性海寺は平安時代、空海の開基と言われ、各時代の権力者により支援され、特に徳川氏からはかなり保護を受けたようだ。この寺には文化財が大変多く保存され、国指定では、仏塔のほかに、本堂、宝塔等があり、県指定でも8点、市指定でも16点の重文がある。
★見掛けに似合わず、当地では貴重な存在であることを、十分認識させられたのであった。
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連載第26回 |
[愛知県編]続き
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◆地元の庶民に親しまれる[笠寺観音・多宝塔](名古屋市南区笠寺町上新町83)
★名鉄本笠寺駅のすぐそばにある。太鼓橋を渡り仁王門から境内に入ると、左手に多宝塔が鎮座している。境内は各種の建物がぎっしりと並んでいる。
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笠寺観音・多宝塔 |
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本堂 |
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★笠寺観音の多宝塔は江戸時代前期の建立で、高さは20メートルほど、一部に彫刻があるが、全体としてはオーソドックスな造りだ。どっしりとしていて名塔だと言えよう。
★笠寺は奈良時代の開基であるが、一時荒廃していた時代に、本尊である十一面観音が雨晒しになっていたのを笠で防護した、との言い伝えがある。寺の名はここから出たそうだ。
★境内の建物は、焼失後、江戸時代に再建されたものだが、庶民の篤い信仰で絶えず賑わっており、地元の観音霊場のひとつにもなっている。本尊は県指定の重文だ。境内には芭蕉の句碑もあり、ほのぼのとした雰囲気を持っている。このような、歴史のある立派な仏塔が、文化財に指定されない不合理さを思いながら、寺を後にした。
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◆尾張の名刹[萬徳寺・多宝塔(国指定重文)](愛知県稲沢市長野3−2−57)
★JR稲沢駅から10分ばかり、小さな山門を入ると、左手に萬徳寺の多宝塔がある。仏塔は均整が取れていて好ましいが、三方が板張りで、簡素な感じを受ける。仏塔は鎌倉時代の物といわれるが、実際は室町時代のものらしい。いずれにしても大変な古塔で、国指定重文となっている。
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萬徳寺・山門 |
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萬徳寺・多宝塔 |
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★寺は奈良時代の創建で、特に江戸時代には大いに栄えたようだが、現在も、当地の観音霊場のひとつとして、庶民の篤い信仰に支えられている。各種の文化財も保有しており、見かけよりも大した寺のようだ。
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◆徳川氏の菩提寺[大樹寺・多宝塔(国指定重文)](愛知県岡崎市鴨田町広元5)
★名鉄東岡崎駅からバスで行くが、本数が少ないので40分ばかり歩いてしまった。山門を入ると左手奥に墓地があり、その中にぽつねんと大樹寺の多宝塔が建っている。
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大樹寺・多宝塔 |
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★忘れられたようになっているが、葵の紋章の付いた柵もあり、徳川の雰囲気が出ている。如何にも地味だが、格調は高く、全体に均整が取れているように思われる。高さは15メートルほど、室町時代の建立で、国指定重文だ。檜皮葺きで、各所に僅かの彫刻もある。
★大樹寺は室町時代の開基で、松平氏の菩提寺であったが、江戸時代以降徳川氏の菩提寺となっている。桶狭間の戦いの際、家康がこの寺に逃れ、住職から自害を止められたとのことだ。
★寺には、国、県、市指定の重文が多数保存されており、その点でも貴重な散在だ。岡崎市には、徳川氏はじめ三河武士関連の史跡等が多く、一日ゆっくり巡りたい土地だと思う。
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◆神仏分離を生き抜いた[知立神社・多宝塔(国指定重文)](愛知県知立市西町神田12)
★名鉄知立駅から20分足らず、鳥居から入ると、すぐ右手にある。知立神社の多宝塔は如何にもどっしりとして、安定感抜群だ。高さは15メートルばかり、構造は比較的簡素で、三方が板張りになっている。
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知立神社・鳥居 |
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★明治維新の神仏分離の際、多宝塔も壊される運命にあったが、種々の構造変更や本尊の移転等、大変な努力により生き残ったものと言う。大正時代に元の姿に復元されたそうだ。
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知立神社・多宝塔 |
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★知立神社は飛鳥時代以前のものと言われるが、実態は良く分からない。いずれにしても、歴代諸大名の大変な帰依を受けてきたものらしい。県、市指定の重文が数多く保存されている。当地は、東海道五十三次の宿場のひとつとして、大いに賑わったところという。歴史を偲びながら、心地よく駅に向かった。
以上で一応愛知県を終わり、紹介できなかったものを一覧にしておきたい。
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[愛知県の仏塔一覧](既に紹介したものを除く)
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<七層塔・五重塔・三重塔・二重塔・多宝塔・宝塔> |
[愛知県] |
寺 社 名 |
所 在 地 |
1.無量寺・七層塔 |
蒲郡市西浦町日中30 |
2.日泰寺・五重塔 |
名古屋市千種区法王町1−1 |
3.岩屋寺・三重塔 |
知多郡南知多町山海 |
4.妙厳寺・三重塔 |
豊川市豊川町1 |
5.明蔵寺・三重塔 |
稲沢市浅井町330 |
6.徳正寺・三重塔 |
岡崎市大西1−7−5 |
7.世界心道教・三重塔 |
豊川市諏訪2−101 |
8.寿泉寺・三重塔 |
豊橋市瓦町通2−80 |
9.福生院・二重塔 |
名古屋市中区錦2−5−22 |
10.大雄院・二重塔 |
愛知郡長久手町蟹原1704 |
11.大聖寺・二重塔 |
犬山市北白山平5 |
12.密蔵院・多宝塔 |
春日井市熊野町3133 |
13.東観音寺・多宝塔 |
豊橋市小松原町坪尻14 |
14.堀江観音・多宝塔 |
西春日井郡新川町西堀江859 |
15.龍泉寺・多宝塔 |
名古屋市守山区吉根松洞3417 |
16.寶泉寺・多宝塔 |
瀬戸市寺本町30 |
17.泉浄院・多宝塔 |
犬山市倉曾洞1−13 |
18.法妙寺・多宝塔 |
名古屋市名東区亀の井1−135 |
19.定光寺・多宝塔 |
瀬戸市定光町373 |
20.正法寺・多宝塔 |
知多郡南知多町豊丘本郷10 |
21.真福寺・宝塔 |
岡崎市真福寺町薬師山6 |
22.一畑薬師・宝塔 |
岡崎市藤川町王子ヶ入12−44 |
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[岐阜県編]
◆極彩色の仏塔[真禅院・三重塔(国指定重文)](不破郡垂井町宮代2006)
★東海道線垂井駅から20分ばかり、新幹線のガードを潜ると、仏塔が昔建っていたという南宮大社に着く。素晴らしい規模の神社だ。ここで拝礼してから仏塔に向かう。
★真禅院の山門を入ると、古めかしい建物が散在し、大変な静寂さだ。右側の一番奥に三重塔が鎮座している。朱塗りの美しいもので、特に初層部分は極彩色となっている。高さは25メートルだ。この仏塔はもともと奈良時代の建立であったが、関が原の合戦で焼失し、江戸時代前期に南宮大社で再建されたものという。その後明治の神仏分離により、現在地に移転した等、大変な経緯があった。現在国指定重文となっている。
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真禅院・三重塔 |
三重塔初層の極彩色 |
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★寺は奈良時代の開基で、前記の南宮大社(美濃国一ノ宮)の神宮寺となっていたとのことだ。従って、境内には、国、県指定の重文が数多く存在し、古刹の雰囲気がある。ゆっくりとしたい寺だ。
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◆町民の宝[日吉神社・三重塔(国指定重文)](安八郡神戸町神戸1)
★近鉄揖斐線の広神戸駅で下車するとすぐだ。参道の両側には塔頭の跡があり、神仏習合時代の名残りが見られる。
★日吉神社の仏塔は、全体的に安定しており、しかも規模はかなり大で、豪華な感じがある。高さは25メートルほどのようだ。ただ、窓がひとつもないのは珍しい。室町時代の建立で、国指定重文となっている。
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日吉神社・三重塔 |
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三重塔・初層の軒裏 |
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★日吉神社神社は平安時代の開基で、明治の神仏分離で、仏教系のものは廃棄されたというが、未だに国指定重文の十一面観音等仏像も保有している。
★神戸町は神社の門前町として発展し、現在も、我らの宝物として、庶民の篤い信仰によって支えられている。独特の雰囲気の感じられる町だ。
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◆岐阜県八景のひとつ[新長谷寺・三重塔(国指定重文)](関市長谷寺町)
★名鉄新関駅から10分余り、新長谷寺の仁王門を入ると、三重塔は本堂右手にある。安定した美しさだが、軒の反りがややきつい感じはある。室町時代の建立で、国指定重文となっている。高さは20メートルほど。
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新長谷寺・三重塔 |
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★新長谷寺寺は平安時代の開基で、その後兵火による焼失等かなりの経緯があったようだが、現在は「吉田観音」という通称で、美濃33観音霊場結願寺となっており、庶民の信仰は篤い。
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新長谷寺・本堂 |
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★寺には、本堂等8棟の建物や十一面観音等、多くの国指定重文があり、岐阜県八景にも選ばれている。本当に
貴重な寺だ。
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◆天然記念物・銀杏が有名[飛騨国分寺・三重塔(県指定重文)](高山市総和町1−38)
★高山駅から数分の繁華街にあり、観光客の来訪は多い。楼門を入ると左手に、高さ37メートルの大銀杏が聳えている。樹齢1200年、天然記念物だけあって素晴らしいものだ。
★飛騨国分寺の三重塔は大銀杏の右手に厳然と屹立している。ただひとつ、飛騨地方に残った仏塔で、木組みが立派。高さ22メートルと堂々たるものだ。屋根の逓減は緩やかで、どっしりしていて、彫刻等の飾りもない。江戸時代後期の再建で、県指定重文になっている。奈良時代の七重塔以来火災等の災難で再建を繰り返して来たものという。
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飛騨国分寺・三重塔 |
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★寺は奈良時代、行基菩薩の開基で、焼失、再建を繰り返してきたが、当地随一の歴史を有し、飛騨33観音霊場1番となっている。本堂、観音菩薩像、薬師菩薩像等は国指定重文であり、その他、県指定や市指定の重文も多く保有している。高山は、陣屋や古い町並み、民家等見て回るところが多く、ゆっくりと一日を楽しく過ごしたいものだ。
以上で岐阜県を終わり、紹介できなかったものを一覧にしておきたい。
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[岐阜県の仏塔一覧](既に取り上げたものを除く)
<八層塔・三重塔・二重塔・多宝塔・小宝塔>
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[岐阜県]
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寺 名 |
所 在 地 |
1.永保寺別院・八層塔 |
多治見市山吹町3−46−25 |
2.横蔵寺・三重塔 |
揖斐郡谷汲村館神原1160 |
3.岐阜公園・三重塔 |
岐阜市大宮町 |
4.円鏡寺・三重塔 |
本巣郡北方町 |
5・愚渓寺・二重塔 |
可児郡御嵩町中2635−1 |
6.平安寺・二重塔 |
揖斐郡池田町舟子402 |
7.日龍峰寺・多宝塔 |
武儀郡武儀町下之保4650 |
8.長蔵寺・小宝塔 |
美濃市上野961 |
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連載第28回
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[静岡県編]
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◆慰霊平和塔[香貫山・五重塔](沼津市香貫山香陵台)
★沼津市は、私が勤務していたことのある懐かしいところだ。海あり、山あり、町ありの、穏やかな土地柄での生活は、今も忘れられない。この市内の中心に、標高200メートルばかりの香貫山があり、頂上の公園に香貫山・五重塔が屹立している。
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香貴山・五重塔 |
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★この仏塔は昭和40年に建立されたものだが、次第に古色が着いてきている。高さは17メートルで、構造は簡単。屋根の逓減がやや急だが、総体的に良い形をしている。本来、日清戦争をはじめとして、第二次世界大戦までの戦没者を慰霊し、平和を祈るためのもの。ここからの展望は雄大で、富士山、伊豆の山々、駿河湾、沼津市内等、山、海、町が一望のもとにある。ゆっくりと展望を楽しみたいところだ。
★静岡県には、このほか多くの仏塔があるが、行く機会が無かったので、次に一覧を掲げておきたい。
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[静岡県の仏塔一覧]
<五重塔・三重塔・多宝塔・宝塔>
寺 名 |
所 在 地 |
1.大石寺・五重塔 |
富士宮市上条2057 |
2.油山寺・三重塔 |
袋井市村松1 |
3.方広寺・三重塔 |
引佐郡引佐町奥山 |
4.霊友会・三重塔 |
加茂郡東伊豆町大川926 |
5.蓮長寺・三重塔 |
静岡市沓谷1344 |
6.宗安寺・三重塔 |
浜松市市野町167 |
7.正応院・多宝塔 |
志太郡岡部町内谷264 |
8.佛現寺・宝塔 |
伊東市物見ヶ丘2−30 |
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[三重県編]
★三重県には仏塔が少なく、私も行っていないので、一覧を掲げておきたい。
[三重県の仏塔一覧]
<五重塔・三重塔>
寺 名 |
所 在 地 |
1.津観音・五重塔 |
津市大門32−19 |
2.子安観音・三重塔 |
鈴鹿市寺家3−2−12 |
3.瑞厳寺・三重塔 |
松阪市岩内町707 |
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[富山県編]
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◆万葉の里の仏塔[国泰寺・三重塔](高岡市太田184)
★高岡は、大伴家持ゆかりの万葉の地であり、関連の史跡は多い。私は、短歌の会の一員としてこの地を訪れ、大いに雰囲気を味わった。
★国泰寺・三重塔は高岡駅からバスでも行けるが、タクシーを利用するほうが便利だ。小高い山の中腹に大伽藍があり、その境内を外に出て、一番高い場所にある。銅板葺きの20メートルばかりの仏塔だが、ややずん胴で安定感がある。昭和56年の建立というが、適当に古色がついてきている。
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国泰寺・三重塔 |
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★寺は鎌倉時代以前の開基のようで、種々経緯があったものの、現在北陸観音霊場のひとつになっている。境内は広大で、しかも開放的で、月泉庭として有名だ。特に、巨石は庭石としては日本一だという。素晴らしい境内に感動する。近くの尾根には二上山万葉スカイラインがあり、その頂上の鐘を鳴らして、遠い万葉時代を偲んだのであった。
これで一応富山県を終わり、一覧を掲げておきたい。
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[富山県の仏塔一覧]
<五重塔・三重塔>
寺 名 |
所 在 地 |
1.永明寺・五重塔 |
氷見市北大町8−22 |
2.山藤・三重塔 |
高岡市昭和町2−1−8 |
3.観音寺・三重塔 |
小矢部市観音町1−9 |
4.日石寺・三重塔 |
中新川郡上市町大岩163 |
5.光厳寺・三重塔 |
富山市五番町7−37 |
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連載第29回
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[北陸続き]
[石川県編]
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◆新しいが本格派[真和園・三重塔](鳳至郡穴水町乙ヶ崎ウ−37)
★真和園には、穴水駅から遠いのでタクシーを利用することになる。丘陵地帯に入り、海や立山連峰を望む景勝地に着く。一帯は、地元の一土木業者が開発し、温泉や阿弥陀堂等の宗教施設を建設したもので、誠に広大な敷地と眺望を誇っている。
★施設は昭和55年に創設したものだが、三重塔は平成2年の建立だ。構造は簡素だが、本格的なもので、堂々と屹立している。ただ、屋根に比して軸部の逓減が強い感はある。しかし、個人でこれだけ立派な仏塔を建立したとは、金力があるとはいえ大したものだ。散在する堂塔を眺め、素晴らしい風景を満喫する幸せを噛み締めた。
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真和園・三重塔 |
夕暮れの風情 |
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石川県には他に重要な仏塔があるが、私は行っていないので、一覧を掲げておきたい。
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[石川県の仏塔]
<五重塔・三重塔・二重塔・多宝塔> |
寺 名 |
所 在 地 |
1.妙成寺・五重塔 |
羽咋市滝谷町ヨ−1 |
2.不動寺・五重塔 |
川北郡津幡町倶利伽羅リ−2 |
3.那谷寺・三重塔
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小松市那谷町ュ−122 |
4.雨宝院・二重塔 |
金沢市千日町1−3 |
5.医王寺・多宝塔 |
江沼郡山中町薬師町リ−1 |
6.心蓮社・多宝塔 |
金沢市山ノ上町4−11 |
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[福井県編] |
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◆優秀塔として有名[明通寺・三重塔(国宝)](小浜市門前)
★小浜市は、十一面観音の羽賀寺やお水取りの神宮寺等、由緒ある社寺が多く存在し、年間通して観光客は大変多い。私は、小浜駅から一日観光コースで回ったのと、同好の士と新幹線米原駅からレンタカーで回ったのと、都合二回明通寺を訪れたことになる。
★仁王門から参道に入る。両側は、良く手入れのされた素晴らしい庭園となっている。右側の本堂の奥に、大変整った素晴らしい仏塔が現れる。高さ22メートル、純粋に和様で、なんとも呆然とする美しさだ。鎌倉時代の建立で、国宝となっている。中央の技術が入っているようで、文句なく素晴らしい三重塔だ。
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明通寺・三重塔 |
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★明通寺は平安時代の開基で、色々経緯はあったようだが、全国からの篤い信仰が息づいている。本堂も国宝になっている。最近は観光寺院化している面はあるが、何回訪れても、ほのぼのとした感慨にふけることが出来る、優秀な仏塔だ。
以上で福井県を終わり、紹介できなかったものを掲げておきたい。
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[福井県の仏塔]
<五重塔>
寺 名 |
所 在 地 |
清大寺・五重塔 |
勝山市片瀬46 |
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次回(連載30回)からは[京都府編]に移ります。 |
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♪BGM:Chopin[Etude25−1]arranged by Pian♪
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表紙へ |
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仏塔巡り
目 次 |
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