★遍路はやりたいようにやればいいし、小生もふくらはぎがやや痛い事や、カメラを壊して回り道をしているのでバスを使っていること等を言って、さかんに慰めた。この女性達とは恩山寺で別れ、次の19番立江寺へ向かった。歩きだして間もなく、バスに抜かれたが、良く見ると、先ほどの女性軍が車中より、軽やかに手を振っているではないか。励まされているのだろうが、車の速さには嫉妬を覚える。
★立江寺への途中、道路際の見事な満開の桜に出会う(下の写真参照)。出発前は準備に追われ、東京では桜を見られなかった。四国の桜はもう終わっていると思っていたので、これはラッキー。よく考えたら、この日は 小平稲門会の花見の日だ。遍路に行くと言って花見の誘いを振り切って来たのだが、同じ日に見事な桜を見られたのも何かの因縁だろうか。
[立江寺周辺で]
★19番立江寺は、お京の黒髪や立江のお地蔵さんなどが有名である。参拝を済ませて一休みしていると、高齢のご婦人が寄って来て、「お接待です」と言い、みかんと賽銭袋をくれようとする。前に頂いた賽銭袋を見せて、もう頂いていますので結構ですと固辞したが、私は用があってもう家に帰らなければならないが、これを誰かが貰ってくれないと帰れないと、押しつけられた。結局、有りがたく頂戴することとなった。
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19番札所 立江寺本堂 |
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★参道の信号で次の宿のある鶴林寺下の生名(いくな)への道筋を地図で調べていると、年配の遍路者が声を掛けてきて、「腹が減っては歩けないよ」と言いながら門前で売っていた名物の大福を差し出してきた。有りがたく頂きながら、しばらくご一緒した。足回りを見ると軽登山靴をはかれていた。重いとか、靴底が固いとかありませんか?との質問に、「僕はそんなに速く歩かない。一歩一歩、足を前に投げだすようにしてゆっくりと歩き、無理をせずに行けるとこまでで泊まるようにしているから平気だ。」と言われた。一つの見識であると思う。
★歩くスピードが違うので、お互いに気を使う。10分ほどご一緒して、お礼を言って先に行かせてもらうことした。
★立江寺から生名までは アップダウンのあまり無い道を約10Kmだらだらと歩く。昼飯時だが、食堂がなかなか見つからない。しばらく歩くと、新規開店した小さなうどん屋があり飛び込んだ。
食事をしながら店の人と近所のお客とおぼしき人と話す。東京から来たのをえらく珍しがられた事。うどんの他にどら焼きがついている。いぶかしく思っていると「お接待」とのこと。今日は色々と頂き物をする日だ。又、ノートを出してきて記帳を頼まれる。そして、プロ卓球選手「四元奈生美」が3月の下旬から四国の遍路をしているとの話。
★昨日 4月4日に立江寺に行ったようだ。今、この辺はその話題で持ち切りだとのこと。これは帰京後に調べたことだが、NHKの「街道てくてく旅四国遍路〜88か所を行く〜」と題し、四元奈生美が、地元の人と卓球などの交流をしながら、春に徳島県、高知県を, 秋に愛媛県と香川県の札所を回るという企画だった。テレビでも度々 放送したのでご存じの方も多いと思う。この後 この手の話を何回も聞くこととなる。
[生名(宿)周辺で]
★朝一番でバスを利用したので、今日は予定より大幅に早く、宿には 13:40に到着。ところが、15:00までは受け付けない。玄関も開いていない。荷物も預けられない。人を配置していないのだ。こんな所まで人手不足か。次の鶴林寺の宿坊まで行こうかと考えなおし、電話をしてみる。ところが、ここも何年か前より宿坊を閉鎖しているとの事。
★遍路地図は2007年2月の改訂版なのだが、既に閉鎖された焼山寺&鶴林寺の両宿坊が未だに登録されている。遍路ではこの地図情報が命なのだから、しっかり改訂をやって貰いたいものだ。
★諦めて宿の前で休息を取っていると、20歳台とおぼしき遍路者が休憩がてら横に座って話しかけてきた。話を聞くと高松より来ているとの事。まだ宿が開くまで1時間半あるけど、鶴林寺の宿坊はやっていないよねとの話をしたら、自分は野宿でやっているので、今から鶴林寺への山道を登って行けるところまでいって、お寺のお堂あたりで野宿させてもらうつもりだとのこと。寝袋を含めて20Kg強の荷を背負っている。高校時代の山岳部並みである。若さの強さとある意味での無謀さが羨ましくもある。
★宿もやっと開いてチェックインする。夕食後は散歩がてら、地元勝浦町の桜祭りを見に行った。写真にあるように、提灯の灯りだけを頼りに勝浦川沿いの夜桜を鑑賞するものだ。こじんまりとしたお祭りだが、地元の人たちであろう、かなりの人出があった。
★今日の歩行距離は約15kmと短かった。ゆっくりとした故であろうが、今日は、色々な人に出会った。それぞれの出会いは短く取るに足りないものだが、知らない土地を一人で歩いていると非常に印象に残る。こんなことが遍路の楽しみの一つなのかも知れない。尚、心配していた、ふくらはぎは湿布&サポーター or 昨日のマッサージ or 今日の歩行距離が少なかったせいか、かなりの改善をみた。
★明日は朝食を取らずに5:30の早立の予定である。長い一日であったが、寝ることとしよう。
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