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滝沢公夫(30法)
文・写真 |
[その4] |
[第十八番 真成院(潮干観音)]
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近代的なビルの寺
(山号) 金鶏山 (宗派) 高野山真言宗 (本尊) 十一面観音
(所在地) 新宿区若葉2-7-8
(巡礼歌) 世も人も 変わる世に住む中に
変わらぬ利益 潮踏の里
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真成院 本館入口 |
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★この寺は四谷駅から行きますが、坂の多い寺町のなかにあり、大変分かりにくいです。天保8年(1837)に再建された観音堂と本堂は戦災で焼失し、昭和48年に、8階建の近代的なビルに生まれ変わったものです。およそ寺には見えず、ホテルのようです。
★観音堂は屋上にあり、僧侶が親切に案内してくれます。目の前でじっくり拝観できますが、案外大きい立派な観音さまです。屋上には、昭和46年に建立された宝塔がありますが、これは異用の特殊塔で、あまり感心しません。開山は祈祷僧・清心法印ですが、越後の豪族・村上氏の守護仏であった潮干観音は、大阪城を責める徳川方の上杉景勝に従った村上兵部入道道楽斉が、江戸に出て当院に収めたものと伝えられています。
★本尊を潮干観音と称するのは、日本武尊がこの辺を通った時に、葦が風にそよぐ様子が潮のうねりに似ていることから、この地を潮干の里といいましたが、この名は観音だけに残っています。また、潮の満ちる頃、台石が濡れるともいわれています。なお、3階から上は、四谷霊廟となっており、総合寺院の観がある寺です。納経は1階の寺務所で受けてくれます。
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[第十九番 東円寺]
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わかりにくい静寂な寺
(山号) 医王山 (宗派) 真言宗豊山派 (本尊) 聖観音
(所在地) 杉並区和田2-18-3
(巡礼歌) あなとうと 救世の光り今の世に
つきぬ利益ぞ 有明けの月
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東円寺本堂 |
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★この寺は、第十八番から徒歩15分ほどのところにありますが、これも分かりにくいです。大変樹木の多い寺域で、入るとひんやりします。観音堂は、昭和43年に再建されたものですが、小さな鉄筋コンクリート造りです。
★天正4年(1576) 祐海和尚の開山ですが、江戸城新築の際、九州から下った三谷氏の浄財で、本堂改築等、寺運興隆の基礎としたといわれます。
★静寂そのもののほか、特に見るべきものはありません。
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[第二十番 天徳寺(西之窪観音)]
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落ち着いた雰囲気の素晴らしい本尊
(山号) 光明山 (宗派) 浄土宗 (本尊) 聖観音
(所在地) 港区虎の門3-13-6
(巡礼歌) おぼろ夜の そらあきらけき 寺の内
心にかかる 雲とてもなし
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天徳寺本堂 |
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★この寺は、地下鉄神谷町駅から行きますが、放送博物館のある愛宕山のトンネル近くです。緑に覆われ、広大な寺域を持ちます。本堂は、一見みすぼらしいですが、行基菩薩作の阿弥陀如来と、恵心僧都作の札所本尊・三尺の木彫りの聖観音が目の前で拝観できます。自然に頭が下がり、合掌します。
★ここは、称念上人の開山によりますが、同上人は増上寺で出家、その後茨城や埼玉の寺にも居ましたが、天文2年(1533)郷に帰り、この寺を草創したとのことです。その後、徳川家康が江戸城に入城し、慶長16年(1611)現在地に移転したといいます。徳川氏とは大変密接な関係があり、多くの大名の菩提寺でもありました。また、安政6年(1859)の樺太に関するロシアとの会議でも、この寺が使用されたとのことです。
★都心に、このように緑にあふれ、落ち着いた雰囲気を持つ、歴史のある寺があることに感動しました。
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[第二十一番 増上寺]
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広大な徳川家の菩提寺
(山号) 三縁山 広度院 (宗派) 浄土宗大本山 (本尊) 西向聖観音
(所在地) 港区芝公園4-7-35
(巡礼歌) ありがたや 西向観音に詣る身は
現世安穏 後生極楽
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増上寺本堂 |
札所本尊(西向聖観音) |
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★この寺は、都営三田線芝公園で下車してすぐのところにあります。国道沿いの重文・三解脱門から寺域に入りますと、余りの広大さ、巨大な本堂、会館の建物等に圧倒されます。しかし、札所本尊の西向観音は、子育て地蔵の右側の露天に、ひっそりと大自然のまま立っています。その他の施設の壮大なのに比して、余りの粗末な扱いに呆然としました。
★ここは、浄土宗の第八祖・西誉上人が、明徳4年(1393)江戸貝塚に創立した寺院で、天正18年(1590)徳川家康が菩提寺と定めてから発展したといいます。戦災により、三解脱門と経蔵以外は焼失し、更に寺域のかなりの部分がプリンスホテル等の民間業者に買収されたといいます。
★境内には、主な徳川将軍・正室・側室など38人が埋葬された霊廟があり、ここに8基の石造宝塔があります。なお、本堂の本尊・阿弥陀如来にも参詣を忘れてはなりません。ここでご朱印を頂戴します。
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[第二十二番 長谷寺(麻布大観音)]
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すへてが巨大な寺
(山号) 補陀山 (宗派) 曹洞宗大本山・永平寺別院 (本尊)十一面観音
(所在地) 港区西麻布2-21-34
(巡礼歌) うららかや 麻布の台の 長谷寺
空吹く風も 法を説く声
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長谷寺(麻布大観音) 本堂 |
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★この寺は、渋谷からのバスで、青山七丁目下車すぐです。富士フィルム本社の前の立札のところを入ると、参道の先に本堂があり、左手には禅堂と鐘楼、右手前には観音堂があります。さすがに、大本山永平寺別院だけあって、極めて広大な寺域です。すべての建物も巨大です。
★本尊は、戦後10年をかけて彫刻されたといい、長谷寺方式の巨像です。まさに圧巻であり、首が痛くなるほど見上げるひとときでした。もととも、養老年間、大和長谷寺・鎌倉長谷寺とともに法道上人が造立した三体の一つでしたが、戦災で焼失したため、彫刻家の大内青圃氏が刻んだものといいます。
★この寺では、座禅会や茶会等の行事も盛んであり、また、広大な境内には、榎本健一の墓や各種墓石、石仏等も散在しており、ゆっくりと過ごしたい寺です。ご朱印は、寺務所に上がって戴きます。 (続く)
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♪BGM:Bach[The Goldberg Variations aria]arranged by Mari Kumamoto♪ |
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江戸三十三観音
巡礼記 目次 |
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