◆早大野球部員と名乗る学生からの電話
★2011年10月初めのことだが、早大野球部に所属する一学生から私に電話があり、「西東京稲門会が開いている稲門寺子屋西東京の教場として、西武鉄道東伏見駅前に最近設置された東伏見ふれあいセンターを使うのは如何でしょうか」という思いがけない提案であった。
★早大野球部の選手である学生が、地元の中学生達を対象に無料で開設しているわれわれ稲門会の地域活動になぜ関心を持っているのか、私はそれが知りたくて、とにかく本人に会ってみようと東伏見の早大球場に出かけた。
◆東伏見の早大球場で対面
★練習が終わるのを待って、「野球部に『かいどう』という選手はいるか。電話をもらったので会いに来た」と尋ねた。間もなく目の前に現れたのは、真面目そうな若者で、「現在教育学部4年で、野球部では内野手です」と自己紹介をしてくれた。
★私は、今年もオープン戦を含め10試合ほど観戦していたが、残念ながらレギュラーでない彼の名前を知らなかった。目の前の海藤瞬(しゅん)君は、「稲門寺子屋の活動内容をお尋ねしたいと考えたのは、卒論のテーマに選んだ地域振興、商店街の活性化を広い視野とグローカルな視点で考えているからです」と言う。
◆卒論テーマで稲門寺子屋を交えた地域起こしを提案
★卒論準備の中で稲門寺子屋の活動を知り、地域商店会、地域総合型スポーツクラブの組織であるココスポ東伏見、西東京市の三者連携で設置された「東伏見ふれあいセンター」の活用を考えついたと海藤君。
★海藤君の提案を「NPO寺子屋」の小嶋弘理事長(41商)に伝えると、[駅前で使用料無料の好条件なのでぜひ使いたい」ということで、私は小嶋さんに同道してふれあいセンター管理者の東伏見商栄会の岡田会長にお願いに伺った。
★西東京稲門会幹事の田嶋和彦さん(61理工)が商栄会の役員であるという関係で応援これありで施設利用の見通しが立ったのである。
◆最後の早慶戦に海藤選手が代打初打席で立った
★実は、これからが海藤君と出会って、私が感激した話となる。2011年の東京六大学野球リーグの秋季戦の最後の試合となりそうな雲行きになった早慶2回戦は、9回表3対2と早稲田がリード、連勝して閉会式の気配が出てきた。つまり、4年生選手にとっては、最後のゲームのイニングである。
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海藤瞬選手 |
早大野球部選手名鑑から転載 |
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◆教員志望の控え選手が監督の指名に応えダメ押しのクリーンヒット
★9回表、先頭打者が安打出塁。ダメ押しのもう1点が欲しいところで代打「海藤」と告げられたのである。背番号32に私の眼は惹きつけられた。見事ライト前へクリーンヒット。まさにダメ押し点につながる1打だった。私はグッときた。嬉しかった。海藤選手は、4年間がんばって練習を続けてきた中から選ばれ、最後の代打に抜擢されて、期待に応えたのだ。
★岡村猛監督の采配、配慮。他にも起用したい4年生部員が居たに違いない。その中から海藤選手を指名した監督、それに応えて神宮での最後で初のヒットを放った海藤君に、私の胸は熱いものが込み上げた。
★海藤瞬君は、教員志望だという。私は、こんな素晴らしい青年が教育の路に進んで早稲田の底力を発揮してくれることを願うことしきりである。(2011.11.5.記)
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