◆それは???で始まった
★この話を初めて聞いた時には、急には理解できなかった。一口で言えば、「パイオニア(株)の創始者が開発したボディ・ソニックの座席と、ティアック(株)の骨伝導体感方式のイヤホーン(鼓膜を経由せず、耳の前面の骨に震動を伝える方式)を組み合わせて、身体で音を感じるのこと」なのだが。
◆発端
★今年の4月19日。私は、6月30日に開催予定の「ユネスコ ポップ フェスティバル2012」の準備をしていた時に、小平ユネスコ協会の野崎会長とDDKインターナショナル(株)神保社長に同行して、川崎のパイオニア(株)本社を訪問した。そこで初めて「聴覚障害者用骨伝導体感音響システム」の説明を受け、打ち合わせの結果、DDKインターナショナル(株)の協賛とパイオニア(株)・ティアック(株)の技術提供により、今年のコンサートに聴覚障害者30名を無料招待することが決定した。
◆当面の課題と作業
★DDKインターナショナル(株)とパイオニア(株)が作成した資料で、「聴覚障害者用骨伝導体感音響システム」の習得から始めた。今までは、コンサートへの参加を勧誘(入場整理券の販売)することだけでも、苦労してきたが、「体感音響システム」を理解して貰い、その上で聴覚障害者に「参加申込書」を出してもらうことが加わった。果たして連休を控えて、3か月足らずの準備期間でそれだけのことができるかどうか疑問であった。
★パイオニア(株)人事総務部内「身体で聴こう音楽会」事務局の参加者募集の方法を参考にして、4月末までに次のことを決めた。
・聴覚障害者無料招待の条件の決定。
・印刷物の制作:案内状・参加申込書・無料招待券に代わるべき印刷物。
・混乱を避けるため、聴覚障害者無料招待の事は、全て自宅を担当事務局にした。
・主催者の小平ユネスコ協会のスタッフに、事前に趣旨・手続・当日の対応などを、役員会を通じて周知徹底させることにした。
◆問題点
★どうしたら、小平周辺地域に住んでいる聴覚障害者に「参加申込書」を届けられるか。最初、小平市役所の担当部門を訪ねたが、答えを得られず、福祉会館にある「ボランティアセンタ-」の手話担当者を紹介されたのを皮切りに、友人・知人の紹介で1件ずつ虱潰しにコンタクトした。
★最終的には、周辺の西東京市、国分寺市、国立市、立川市の担当部門・手話サークル、東京都の聴覚障害者教育機関を訪問して、趣旨説明と、聴覚障害者に「参加申込書」を届けてもらうことを頼んで回った。その結果、ルネこだいら中ホールに用意した「聴覚障害者用骨伝導体感音響システム席」は、コンサートの当日、一般席と同様満席になった。
♪写真は、パイオニア(株)の技術者が、会場の座席に「体感音響システム」を設置しているところです。演奏の音響情報は、演奏者が用意したミキサーから、直接パイオニア社のアンプにケーブルで送られ、同社の技術者が各座席の「体感音響システム」に送り、骨伝導で音楽を聴きとる仕組みです。 |
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★体感音響システム席の興奮と感動が周囲の聴衆にも伝わり、多くの方から感動したというメッセージを頂いた。また聴覚障害のある参加者から、ファックス・E-メールで感謝のメッセージを頂き、2か月半の苦労が吹き飛んだ。当初問題点が多く心配が多かったが、結果は満員となり良い反響を得て、成功したといえる。
◆今回のコンサートの成功を振り返って:成功の最大の理由は「人の善意」
★聴覚障害者用骨伝導体感音響システムの目的が、「社会貢献」であって、開発者の善意から生まれたもの。心配の種であった「どうしたら、小平周辺地域に住んでいる聴覚障害者に「参加申込書」を届けられるか」の問題解決の鍵は、前述の通り、関わった人たちの善意が全てであった。
★演奏者の「米国空軍太平洋音楽隊」(当日出演のロックバンド)は、今回のコンサートの趣旨に賛同して、事前に横田基地内での打ち合わせを経て、音響技術から、当日のステージの演出・進行まで、全面的に協力して呉れた。
★特に6月に近くなっても、まだ聴覚障害者からの「参加申込書」が少ない話を小平稲門会の荒木彌榮子さんにお話したところ、締切間際まで、ご友人、知人を次次に紹介して頂き、お蔭で小平周辺地域に住んでいる聴覚障害者からの「参加申込書」がファックスで私の手許に届き、体感音響システム席は満席になった。
★今回のコンサートの成功のために、終始ご尽力下さった荒木 彌榮子さんに、あらためて、心から感謝を申し上げたい。
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